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「そうだったんですね……」
私は静かに言って納得する。
「でも、どうして堺さんを殺そうと?」
それから、私は彼女にそう質問する。少しして彼女が口を開いた。
「堺くんは、実は元カレなんです……」
「へえ」と、私は驚く。
「ああ、だから、彼のご自宅を知っていたわけだ……」と、御手洗さんが納得する。
「はい。もう三年前のことです。一年半くらい彼と付き合っていました。でも、彼はお話しした通り女癖がひどかったんです。私と付き合っていた時も、他の女の子と付き合っていたみたいなんです。その挙句、真璃とも付き合っていたみたいで……」
「え……ウソ!?」
彼女の話に私は愕然とする。御手洗さんもビックリしていた。
「本当です。それで、私は彼と別れることにしました。別れて正解だと思いました」
その後も、彼女は話を続ける。
堺さんは長澤さんと付き合うようになった。そして、ある時、長澤さんから彼と結婚するという報告を聞いたと彼女は話した。
「ちょうどその頃、彼のことを知っている別の友人から悪い噂を聞いたんです。彼――堺くん――が浮気性だったって」
彼女が静かな声でそう言った。
「浮気性……」
私はその言葉に面食らった。
「なるほど……」と、御手洗さんは頷いた。
彼女は話を続けた。
「私、その話を聞いて、急に腹が立ったんです。私、浮気をする男性が許せないんです。浮気性ならなおさら許せません! それから、真璃にだって浮気性の男となんて結婚してほしくなかった……」
彼女はそう話しているうちに急に目から涙をこぼした。
「大丈夫ですか?」
私は彼女にそう言った。彼女は頷いた後、再び話をする。
「だから、私、彼を殺したいほど憎んだんです。それで……」と言って、彼女は黙った。
「殺害に至った……という訳ですか」
御手洗さんがポツリと言った。
「はい……」
彼女はゆっくりと首を縦に振る。
それから御手洗さんが黙ったので、私も黙る。ややあって、彼が口を開いた。
「警察には?」
「警察には、まだ話していません」と、彼女が言った。
「自首したらどうです?」
御手洗さんがそう言った。
「自首……」
そう言って、彼女は一度黙る。少しして、「そうします」と、彼女は言った。
御手洗さんはその言葉にホッとしている様子だった。私もそれを聞いて安堵する。
「それじゃあ、行きましょうか」
ケーキを平らげた御手洗さんは席を立ち、レジへ向かった。
私も立ち上がる。それから、彼女がゆっくりと立ち上がった。
御手洗さんが会計を済ませ、私たちはその店を出た。それから、私はタクシーを呼んで、三人で警察署まで向かった。
「すみません。わざわざここまで」
警察署の前で、彼女は私たちにそう言った。
「いえいえ」と、御手洗さんは手を振る。
「それじゃあ」
彼女は私たちに一礼して、中へ入っていく。
「お元気で」
などとありきたりな言葉を私は投げかけて、御手洗さんとその姿を見送った。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
探偵・御手洗薫が「人探し」を皮切りにスタートした調査が「事件」へと変貌し、助手の岩尾若奈(私)と一緒にその事件の首を突っ込んでいくというストーリーになりました。
正直、この物語はストーリーよりも、ずば抜けた探偵のキャラクターを皆さんに楽しんでいただけたらと思い、気が付いたらこんな小説が出来上がりました!(笑)
もし甘い物が好きな探偵がいたら……。
御手洗薫は、そんな思いつきから生まれたキャラクターでした。
作者も甘い物が大好きです。以前、「また今日も甘いものを食べて幸せになる。」というヒューマンドラマの作品を書きました。
スイーツ✖ミステリー で何か一作書けないか?
それも、この作品を書くにあたってのヒントでもありました。
さらに、今回、女性の主人公ということにも挑戦しました!
男とも女ともとれる名前の探偵ですが、男性である御手洗探偵に対して、彼をバックアップする助手を女性にし、彼について語ってもらう(一緒に事件を追う、ホームズとワトソンのような関係の)役になってもらいました。作者は男性なので、正直、女性主人公を書くのは大変でしたが、とてもいい経験だと思います。
この作品を書いていて、甘い物(特にみたらし団子)が食べたくなりました。皆さんも同じかもしれません(笑)
好評でしたら、第二弾、第三弾と書くかもしれません。
長くなりましたが、ここまでお読み頂きありがとうございます。
いいねや感想等もお待ちしております。




