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A.F.F.S (アカギ・フライングマシーン・ファクトリー・ストーリー)  作者: あくまでもフィクションです。石を投げないで。
21/33

各種設定3:AFFプロジェクトの起源と展開(1926-1937)

 ep.2での誤字報告ありがとうございます。


 フォード・トライモーター誕生の衝撃が与えた、アカギの設計思想の変遷を時系列で纏めています。


 1926年: フォード空港を見て「インフラとしての航空」を確信。

 1930年: 「最低水準(日本)」を基準としたエンジン設計。

 1934年: 各国のローカライズ(部品非互換)を容認。

 1937年: 資本グループと組み、「静寂と信頼」をブランド化したライセンス管理会社として君臨。




 1. 起点:1926年の衝撃からの構想


 事象: 1926年、フォード・トライモーター(4-AT)の初飛行。同時に「フォード空港」が提示した世界初のコンクリート滑走路と、自社便による完璧なロジスティクス網を目撃。


 アカギへのショック:

フォードが提示した「整備されたインフラ(コンクリート)ありきの航空システム」に戦慄。

フォードの「ティン・グース」が全米を制圧していく様を見て、「航空機を精密機械から、町工場で作れる工業製品へ変える」ことを決意。

世界中(特にアジアや未開地)にコンクリート滑走路を敷く資本力はないと断じ、「未舗装の泥濘地でも定時運行できる、フォードへのアンチテーゼ」として本命の三発旅客機(タイプ32)を構想。

 逆転のレイアウト: 泥を吸い込まず、巨大プロペラの地上高を稼ぐための「主翼上エンジン配置」構想がここで誕生。


 2. 設計思想の確立:『AFF 1930 750HP(ハ1)』


 基本戦略: 自社工場を持たず、「世界中でのライセンス販売」を唯一の収益源とする。

「最低水準」としての日本設計:

最も条件の悪い製造環境でも作れるよう、日本の鋳造水準(当時、アカギが過小評価していた安かろう悪かろうの業界)をベンチマークに設定。

「素材の悪さを肉厚と低回転でカバーする」ドクトリンにより、40,000cc・1,800rpm固定の複列14気筒を設計。

 誤算が生んだオーパーツ:

米国のカタログ部品(安価・高品質なインチ規格)の優越性を信奉しすぎており、外貨や産業政策に阻まれる日本での「ミリ規格への翻訳」に伴うドタバタを甘く見ていた。

しかし、国鉄やクボタ級の底力を想定外に含んでいたことで、「最悪の鋳造」を想定して800kgで設計。結果として「重すぎるが絶対に壊れない」、後の「防弾エンジン」となるオーパーツが誕生した。


 3. 開発ラインの「踏み台」戦略(1930-1934)


 1930年:AFFタイプ30(単発戦闘機)

三発機開発のための「最初の踏み台」。エンジンの実証と資金調達を目的とし、インチ規格で設計・発表。

米陸海軍での反応は冷淡(「重すぎる」)。


 1931年:AFFタイプ31(双発機への橋渡し)

「第二の踏み台」日本陸軍へのスケールメリット提示のため、急遽翼上エンジン「双発軽爆撃機」の図面を短期間ででっち上げる。機体サイズの大型化と翼上エンジン双発運用のデータ収集。


 1931-1933年:日本での「ミリ規格」翻訳のドタバタ


原図は100%インチ規格(AFF製)。日本での国産化にあたり、メートル法への強制翻訳が発生。

 規格の断層: 端数処理によるクリアランスの狂いから焼き付きが多発。しかし、これが「現場でのローカライズ(現物合わせ)」を許容するライセンス契約の伏線となる。


 1932-1934年:本命・三発旅客機(タイプ32)のミリ化完成


踏み台機(30/31)の製造で発生した「インチ→ミリ変換」の混乱をデータとして蓄積。

泥濘地を物ともしない「翼上エンジン三発機」のミリ規格図面を100%AFF製として完成させ、日本を試作・翻訳の拠点として世界へライセンスを拡大。


 1934年:双発機試験飛行と三発機のミリ規格化完了


双発機が飛ぶ頃には、本命の「三発旅客機(タイプ32)」の設計図もミリ規格化が完了。

日本を「インチ図面を実用的なミリ図面に翻訳・試作する外注拠点」として活用。このミリ規格図面が後に独・ソへ輸出される。


 1935-1936年:沈頭鋲と高性能燃料の導入


堀越二郎の九六式艦戦の誕生を受け、既存機(九一式・九二式)の「皮を剥ぐ(全面沈頭鋲化)」改修を実施。

87オクタン燃料と沈頭鋲の相乗効果で、低回転のまま最高速度400km/hを突破。


 1937年:戦略的転換(ライセンス管理会社化)


米国ではフォード・ダグラス共同事業(FD-32)が成功。「会話ができる静寂(70dB)」がビジネス価値として確立。

AFFは製造を捨て、J.P.モルガンやフォードと組み、「世界最大の航空ライセンス管理会社」へ転換。世界標準デファクトスタンダードを制圧。


 4. 戦略的転換:物理的互換性を捨てた「概念の規格化」


 「デファクトスタンダード」の正体:

AFFが制圧したのは「ボルトの形」ではなく、「1,800回転という運用ドクトリン」と「特定の設計プロトコル」であった。

たとえ各国のインチ/ミリの差やローカライズ(大型化、防音化)によって部品が共有できなくても、「AFF 1930 750HP」という心臓部の基本配置・熱管理・出力特性が共通であるため、操縦、整備教育、および燃料インフラが世界規模で共通化された。

 FD-32(米国版)という「規格外の怪物」:

フォード・ダグラス共同事業による「FD-32」は、静寂性(70dB)を追求するあまり、日本版タイプ32とは部品共有が不可能な「別の飛行機」へと進化した。

しかし、米国市場におけるFD-32の圧倒的成功(ビジネスマンの支持)が、「静かで壊れないAFF規格こそが正解である」という世論を決定づけ、技術的な非互換性を「資本の力」でねじ伏せた。

 ライセンス管理会社への純化(1937年):

AFFは自社製造の限界(各国のローカライズのドタバタ)を逆手に取り、J.P.モルガンやフォードと提携。「設計図を売る」のではなく、「AFF規格に適合しているという認証ブランド」を売るビジネスモデルへ移行した。

ライトやカーチスが「部品の共通化」に拘泥して自壊する中、AFFは「『AFF Type 32(をミリ・インチ規格)』をベースに、ある程度は自由に各国の生産を許すが、1,800回転の『AFF 1930 750HP(ミリ・インチ規格)』での搭載が条件」というゆるやかな独占ライセンス・ヘゲモニーを確立。

 技術史評価:部品共用なき統一の不思議:

「タイプ32」と「FD-32」に部品の互換性がないことは、むしろ各国の国力や素材事情に合わせた「最適化の自由」を与えた。

結果として、ドイツ(ユンカース)、ソ連(ツポレフ・GAZ)、日本(中島・川崎)の各工場が「自国の設備で、自国の規格で」AFF機を量産できたことが、皮肉にも世界中をAFFの色に染め上げる最大要因となった。




 AFFタイプ32 ライセンス生産・配備数一覧(1937年末時点)


生産国(ライセンス保有企業). 主な型式名. 規格. 生産・配備数. 特徴・主な用途

日本(中島・川崎・三菱). タイプ32(一九三二式). ミリ. 約 420 機. 満州・中国大陸での軍民共用輸送。泥濘地運用。

米国フォード・ダグラス. FD-32 "Sky-Wagon". インチ. 約 880 機. 商業路線の独占。防音・大型化された「空飛ぶ列車」。

ソ連(ツポレフ/GAZ). ANT-32 "AFF-Stalin". ミリ. 約 550 機. 北極圏・シベリアの酷寒地輸送。粗悪燃料への耐性が評価。

ドイツ(ユンカース). Ju 32. 1932. 1933. 不整地運用能力を評価し提携。Ju52の主翼設計に影響を与える。

米国フォード・ダグラス. FD-32 "Sky-Wagon". インチ. 約 880 機. 商業路線の独占。防音・大型化された「空飛ぶ列車」。

英国(HP). HP.32 "Standard-A". インチ. 約 180 機. 帝国航空インペリアル・エアウェイズのインド・アフリカ線。

その他(イタリア、フランス等). 各国ローカルモデル. 混在. 約 250 機. 郵便輸送、植民地での警備、政府専用機。

合計  約 2,590 機



 歴史的整合性と特記事項


 1. 米国の圧倒的生産数(880機)の理由


フォードの自動車量産ラインを一部転用したことで、他国を圧倒するペースでロールアウトされました。DC-3を上回る静寂性(70dB)を武器に、ビジネスマン専用の「プレミアム・コモディティ」として米国の空を制圧した結果です。


 2. ソ連での「AFF-Stalin」の躍進(550機)


アカギの「60オクタン燃料対応」と「不純物混じりの鋳鉄エンジン」が、ソ連の粗悪な石油精製技術と未熟な鋳造技術に奇跡的にマッチしました。シベリアの泥濘地に強い「翼上エンジン」配置は、ソ連において「唯一信頼できる輸送手段」と絶賛されました。


 3. 「非互換性の壁」とデファクトスタンダード


1937年末時点で、これら2,590機の機体において、共通して使える部品は「1,800回転の設計理論」を除けば、事実上存在しません。

米国製のインチ規格ボルトはソ連機には刺さらず、日本製のミリ規格シリンダーは英国機には適合しません。

しかし、どの国のパイロットも、どの国の整備兵も、「1,800rpmで回るハ一型の基本構造」を知っていれば、世界中でAFF機を運用できました。これこそが、物理的互換性を超えた「概念の統一ライセンス・ヘゲモニー」の力です。


 4. 日本版タイプ32(420機)の立ち位置


日本国内では「輸送機」としてだけでなく、その強靭な主翼構造を活かした「夜間哨戒」や「多発襲撃機」への改造母機としても重宝されました。アカギが「踏み台」として日本にミリ規格化を強いた苦労が、この世界での「AFFタイプ32(FD-32)」のライセンス生産数合計約2,590機(1937年末時点)に現れています。


 中国で英ソの「タイプ31」の部品が合わないとか、スペイン内戦で独伊の「タイプ31」の部品が合わないとか、そういう些細なことです。


 このep.21のオチは、世界初のコンクリート滑走路の「フォード空港」を建設したフォードが、未舗装の泥濘地でも定時運行できる泥を吸い込まず、巨大プロペラの地上高を稼ぐための主翼上エンジン配置の「FD-32 "Sky-Wagon」を大量生産していることです。


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― 新着の感想 ―
誤字報告の事。「ツポレフ」が「連」の「読み仮名」として表示されておりましたので。ルビ変換システムの特性上の問題ですね。  半角丸括弧記号、()、を用いるとよいかと思われます。
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