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A.F.F.S (アカギ・フライングマシーン・ファクトリー・ストーリー)  作者: あくまでもフィクションです。石を投げないで。
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1936年 東京 立川陸軍飛行場「武装比較審査会議」

 1936年、立川陸軍飛行場。格納庫の前には、日本の複葉機デザインの極致とも言える、優美な二張りの翼を持つ九五式戦闘機(キ10)が二機、冬の朝日に照らされていた。


 片方は、従来の八九式7.7mm固定機関銃を2挺備えた「標準型」。そしてもう片方は、右舷カウリングが不自然に盛り上がり、そこから「九五式12.7mm(ホ101)」の太い銃身を突き出した「混載型」だ。


 1931年、九一式防空戦闘機導入と同時に開発の始まった12.7mm航空機関銃は、1935年に「九五式十二・七粍固定機関砲」として正式に採用。1936年、中島飛行機や東京瓦斯電気工業(日立)などで量産が始まっていた。



「……見ろ、この不格好な機首を。右側のたった一挺の12.7mmのために台無しだ。これでは何のために空冷エンジンを積んだのかがわからん」


 格闘戦至上主義を掲げる若手将校が、混載型の膨らみを忌々しげに指差しました。


「7.7mmを2挺、左右対称に備えてこそ、照準は安定し、軽快な巴戦が可能になる。なぜわざわざ25キロも重い『大砲』を積み、機体のバランスを崩さねばならんのだ。これでは燕の片翼に重りを付けたようなものだ!」


 その批判に対し、AFF社との窓口を務める技術将校が、一枚の海外資料を広げて反論しました。


「では、米国のボーイングP-26を見てください。彼らは単葉機への移行期にあるとはいえ、すでに12.7mmと7.7mmの混載コンビネーションを標準としています。米軍はすでに悟っているのです。7.7mmという『針』を何百発刺すよりも、12.7mmという『杭』を一発打ち込む方が、近代的な全金属機を仕留めるには効率的だということを」


「しかし、あちらは単葉機だ。我々の九五式は繊細な複葉機なのだぞ!」


「だからこそ、12.7mmなのです!」


 技術将校が声を荒らげました。


「九五式戦闘機の機体構造は「布張り」ではありますが、中身はクロムモリブデン鋼鋼管の溶接組みという非常に強靭な骨格を持っています。射撃時の微振動でワイヤーが共鳴することはあり得ますが、その強固な張線ワイヤーと、上下二枚の翼が作る剛性こそが、実は12.7mmの強烈な反動を抑え込む『最高の銃架』になる。単葉機であるP-26よりも、我々の九五式の方が、12.7mmをより精密に、敵機へ叩き込めるのです。巴戦に持ち込む前に、600メートル先から敵のエンジンを粉砕することができます」


 試験飛行を終えていた加藤大尉が割って入りました。


「……面白い感覚だった。確かに機首は右に取られる。だが、いざ引き金を引けば、7.7mmの軽い『パタパタ』という音の隣で、12.7mmが『ドン、ドン』と重厚なリズムを刻む。お前の言う『急所』が、もし10ミリの鋼鉄板で守られていたらどうする? 7.7mmをいくら浴びせても、敵のパイロットは笑いながら逃げていくぞ。……昨日、この混載型で地上射撃試験を行った。7.7mmが弾かれる距離から、12.7mmの徹甲弾は標的のエンジンブロックを粉砕した。…佐藤、お前が愛する巴戦を否定はしない。だが、この12.7mmの一撃を知ってしまったら、もう豆鉄砲(7.7mm)だけの空に戻るのは、真っ平ごめんだな」


 陸軍の議論は、この「P-26」という具体的な仮想敵の存在と、複葉機を「精密な重銃架」と見なす逆転の発想により、混載型の支持へと大きく傾いていった。


1931年に12.7mm機関銃(九五式固定機関砲)の開発が開始され、1936年から九五式戦闘機(キ10)に「12.7mm×1、7.7mm×1」の混載型と九五式戦闘機(二型)の性能諸元。




九五式戦闘機(キ10-II)性能諸元比較


項目 九五式戦闘機(二型) (7.7mm×2). 九五式戦闘機(二型) (12.7mm×1 + 7.7mm×1)

武装八九式7.7mm固定機関銃 × 2九五式12.7mm(ホ101)× 1 + 7.7mm × 1

射撃秒あたり重量約0.4 kg/秒約1.0 kg/秒(約2.5倍に強化)

最大速度400 km/h約395 km/h(重量増により微減)

上昇力 (5000mまで)5分10秒約5分30秒

全備重量1,740 kg約1,765 kg(機銃・弾薬増分 約25kg増)

翼面荷重75.6 kg/m²約76.7 kg/m²




1. 火力の圧倒的向上

このシナリオ最大の変更点は「秒あたり投射弾量」です。

破壊力: 12.7mm弾の導入により、一撃あたりの破壊力は7.7mmの数倍に達します。

有効射程: 7.7mmの有効射程が約300mに対し、12.7mmは約600m以上となり、アウトレンジからの攻撃が可能になります。


2. 飛行性能への影響

重量増: 12.7mm機銃本体(約25kg)と、大型化した12.7mm弾薬(1発あたりの重さが7.7mmの約3倍)により、合計で約25〜30kgの重量増となります。

機動性: わずかな重量増により、最高速度や上昇力は微減しますが、複葉機特有の「格闘戦能力(旋回半径)」にはほとんど影響しません。むしろ、安定した機体から12.7mmを撃てるメリットが上回ります。


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