私のヒーロー
「このガキ、調子に乗りやがって!」
「ごめんなさい、ごめんなさい......!」
「アンタなんか産まなきゃ良かった!」
あれからママは私に外に出ることを許してくれませんでした。
あんなに楽しかった学校にも行けなくて、海にぃとも会えなくて、ママは帰ってくる度にちせを叱るんです。
せっかくママが買ってくれたピンクのランドセルも壊されて悲しくなりました。
電話もなくなって海にぃにお電話もできません。
毎月くれていた2000円もくれなくなりました。
水道から水が出る時はお水を飲んでお腹いっぱいにしました。
水が出ない時は、冷蔵庫から食べられそうなものを見つけて少しずつ食べました。
ある日、ママが電話を隠しているところを見ちゃったんです。
電話は捨てられてなかったんだって、嬉しくなりました。
ママがまた夜に出掛けていきました。
足音が聞こえなくなった時、急いで電話が入っている棚まで走りました。
少し高くて手が届かなかったけど、テーブルの上に登って棚を開けました。
海にぃの電話番号をポチポチ押して電話をかけてみると、もしもしって声が聞こえました。
何だか安心して、涙が止まらなくなりました。
気付いたら、海にぃ助けてって言っちゃったんです。
そしたらカランカランってお店のドアの音がして、海にぃは走ってきてくれてるんだってわかりました。
そしたらすごく待ち遠しくて、海にぃが来るまでの時間が長く感じました。
「ちせちゃん、着いたよ。開けてくれる?」
インターホンが鳴ると、電話越しにそう聞こえました。
電話を床に投げて真っ先に玄関まで走りました。
「海にぃ!」
ドアを開けると、走ってきたせいで髪の毛が少しグシャグシャになってる海にぃが居ました。
ギュッと抱き着ついたら、頭を撫でてくれました。
それからは何を話したのかよく覚えていなくて、お店でマスターのご飯を食べてから海にぃのお家に行きました。
またお風呂に入れてくれて、海にぃの隣で暖かいお布団で寝ました。
あんなに大好きだったはずのママが、今は何だか怖くて、一緒に居たくないって気持ちが出てきちゃいました。
だから、寝る前に海にぃにお話しました。
ちせは悪い子だよね、って。
そしたら海にぃはギュッと抱きしめてくれて、
「ちせちゃんは悪い子なんかじゃないよ」
って、言ってくれました。
それが嬉しくて、ちせは海にぃに大好きって伝えました。
そしたらありがとうって返ってきました。




