星が現れたヒ
ある日夜空に太陽が生まれたらしい。
その日は、わたしが小学5年生に上がる前の春休みの日、日本近海に巨大な火の玉が現われ、関東地方などを中心にして3時間ほど煌々と真昼のように照らしていた様から太陽と呼ばれるようになったようだ。
らしい、ようだとか又聞きしたみたいな表現になってしまうわたしがいつもと同じようにしっかりとカーテンを閉めて寝ていたからだ。
その日の朝からテレビやネットなどのメディアに取り上げられ、異常気象からテロや政府の実験等の陰謀論までたくさんの憶測が飛び交っていた。
しかし、太陽の出現から数日後政府からの見解発表により世界に激震が走る。
『連日話題になっている火の玉現象は魔法によって起こされたものである』
その発言を聴いた記者たちは唖然とした、こんなに人を集めておいて政府高官または広報であろう人間が発する言葉が荒唐無稽であったからだ。記者たちが唖然として居る間に、前方の壁に背を向けた狂人は続けた。
『さらに補足するならあそこに溜まっていた魔力が何らかの影響で変化が起こり、燃焼という形で目に見えるようになったに過ぎない。』
『見方を変えれば異常気象と言えるかもしれませんね』と。
手短にまとめるとこのようになるらしい。
話が終わり、質疑応答の時間になると記者たちも再起動がかかり、まだ言葉を受け止めきれていない頭で質問をした。
何故そのような結論に至ったか。
科学的根拠はあるのか。
今後の生活にどのような影響が起こるのか。
雛形とは偉大なもので、月並みでもかえって簡潔に大衆が聞きたいことをまとめた質問自体か比較的落ち着いた会見だった。
しかし、まともだったのは質問だけで返答は正気のものではなかった。
返答する側は回答用意しており次第にヒートアップして、身振り手振りを交えながら言葉を紡いだ。
『まず1つ目、太陽出現以前から魔力のことを研究していたので特殊な計測器で魔力を観測することができた。
2つ目と3つ目を同時に答えることになるがこれからは科学的根拠と同時に魔術的根拠が聞かれるようになるだろう』
『最後に、スクープを取りたいのなら3日後根拠にはなりませんが魔力の存在を視覚的にだけでもお見せしましょう。』
それだけ発言したあとに会見を打ち切り会場を後にした。
その後は、祭りが始まった。
流石に他の議員たちもあのような発言をするのは予想の外にあったらしく、叱責や質問投げかける文章や電話を送ったが返信はなく、
一般市民は一議員があのような発言をしたことに将来に不安を覚え、
ネット民たちは絶対に当たることはない予想が斜め上の形で当たったことから大手のSNSのサーバーが一時的にダウンするほどの盛り上がりを見せた。
祭りにの熱が冷めることはなくすぐに訪れた3日後、今度は野外に会見の場が設けられ、記者だけでなく、大小様々な機材を持ち込んだ科学者の姿などもちらほらと見受けられ今か今かと男が現れるのをも待っていた、前もって周知されていた時間に件の議院が現われパフォーマンスを行なったあと。
世界の常識が根底から覆されることになった。