13-3
「…………!!」
一瞬で、場に緊張が走る。
それは《鬼頭組》だけでなく、俺と山田まで固まってしまう程だった。
「黙ってるだけじゃ分かんねえんですけど。誰に向かって喧嘩売ってんだって聞いてんですよ」
「す、すみません!すみません!」
「だーかーら!!!!」
謝罪を繰り返すだけの男達に向かって脅すように、会長は近くにあったゴミ箱を蹴り倒した。それを見て更に男達は震え上がり、全員土下座をする。……それ程までに怖いのだろう。俺だって怖い。
「日本語も分かりませんか?ひょっとして外国の方でいらっしゃるんです?私、何ヶ国語かは喋れますけど、どこの国か仰ってもらっても構いませんか?」
「に、日本人!日本人です!」
「ふむ。私の言葉は通じているようで大変結構です。なら質問に答えて貰いましょうか。テメェらは誰に喧嘩を売ってるんです?」
「し、知りません!知らないんです!」
「ふーん。私の顔、知らないんですね」
会長はにっこり微笑んだかと思うと……
バキッ
「うわああああああ!!!!」
一番近くにいた男の頭を蹴りあげた。まるでサッカーボールでも蹴るかのように。
「失礼。その筋の方はみーんな知ってることを知らないので。思わず愉快で蹴っちゃいました」
「す、すみません!すみません!」
「えっと、御三家って分かります?」
会長は笑顔を崩さずに言う。すると男達は更に震え上がり、床に頭を打ち付けるかのように謝罪し始めた。
「ご、御三家の方なんて知らなくて!本当に申し訳ありませんでした!」
「ちなみにここ、タカモトの土地なんですよ。アンタらみたいな連中に売った覚えも貸した覚えも無いんですけど?」
会長の言葉を聞いて、男達の顔は真っ青になる。まるで血を失ったみたいだ。
「タ、タカモトだって……!?」
「嘘だろ……よりによって何て人に喧嘩売っちまったんだよ……!」
会長は更に怯える男達に向かって続けた。
「そのタトゥーもシールですよね。そんな偽物を貼ってイキってたんですか?はっきり言ってちょーダセェ、ですよね♪」
「すみません!本当にすみません!すぐに去りますから許してください!」
「……面白いことを言いますね?さっきアンタ達はすぐに去るから許してくれと言ったこの眼鏡の子を許しませんでしたね?ああ!金を出せって言ってましたね!ほらお手本見せましょうよ。ほら、金。さっさと出せよ」
「……っ!!」
会長は逃げられないよう、男の一人の手を踏みつける。
俺達の為に怒ってくれているのは分かるのだが、やり過ぎだ。ここまでは求めていない。仕返しして欲しいなんて思っていない。
正直、会長は普通の人では無いとは思っていたが、ここまで怖い人だったなんて……。
しかし、今の彼に声をかけることすら……怖い。
いったいどうしたら……。




