12-7
ケチャップがぶちまけられたメンヘラポテトちゃんを1本頬張ってから、直樹は口を開く。
「アンタ達だけじゃ話進まないだろうし僕が口挟ませて貰うよ。まず単刀直入に聞くけどさ、アンタ」
直樹はもう一度摘んだメンヘラポテトちゃん……長いのでここからはポテトと略させて貰おう。ポテトで鮫島を指す。
「……あ?」
「鮫島先輩。アンタさ、零士先輩のこと好きでしょ」
いや、お前いきなりぶっ込むかそれ。俺も何となくそうじゃないかとは察してはいたが。
それにしてももっとオブラートに包むとかあるだろ。
「!?は、……ハァァァァ!?!?」
鮫島は相当面食らったのかだいぶ溜めてから叫んだ。そりゃそうだ。俺だって叫ぶ。
「そ、そんな訳ねえだろ!こんだけ避けてんだぞ!?」
「あーそういうツンデレムーブとかいいです。男のツンデレとか誰も得しないから」
いや、それうちの部の男のツンデレ代表みたいなお前が言うのかよ……と突っ込みたかったが、今はグッと堪える。
「言い訳とか要らないから好きか嫌いかだけ言ってくれる?」
「ハァ!?ンなもん嫌いに決まって……」
「本当は?」
「だから嫌いだって言っ」
「本当は????」
「テメェコラ誘導してんじゃねえ!!」
「ぶっ」
あまりにも強引過ぎる誘導尋問に思わず吹き出してしまった。
だけどこのままだと埒が明かないぞ直樹。鮫島は割とチョロいが、こういうことに関しては結構強敵のようだ。
「……まあいいや。じゃあ次は零士先輩」
直樹は不服そうな表情でため息をつき、今度は狙いを犬飼に変えたようだ。
もう一度ポテトをビシッと突きつけたが、それポテトでやる必要あるか?
「お、俺?」
「真剣に答えてね。零士先輩は鮫島先輩のこと、好き?」
「うん!大好き!!」
「ぶっ!」
まさかの即答。そしてとても良い返事だ。
鮫島は吹き出したが、俺は何とか堪えた。そして今、必死で笑いを噛み殺している。何だこのカオスな空間。
「ふーん、分かりやすく真っ赤になってんじゃん。もうこれは答え見えたようなものかな」
直樹に指摘された鮫島の顔は誤魔化しようのないくらい真っ赤になっている。マジで分かりやすいなお前。
「う、うるせえ!お前が変なこと言うからだろうが!」
「変じゃないもん!俺たーくんのこと大好きだもん!」
「やめろ!そのあだ名で呼ぶな!!」
たーくん、もう諦めろ。ここにいる誰もがお前の気持ちに気づいてるぞ。ただ一人、お前が認めようとしないだけで。
「素直になりゃいいじゃん。好きなんでしょ?」
「好きじゃねえ!!」
しかしここまで来たらたーくんも引けないらしく、意地を張り続けている。まあこの状況で認めろってのも酷な話だが。
「……ったく、しょうがないなあ……」
そんな奴を見て、直樹はわざとらしくため息をついた後おもむろに立ち上がり──────
───────そのまま犬飼を抱きしめた。




