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しかし図書館に行っても俺の欲しい情報は見当たらなかった。
ネットで調べても山田が教えてくれた都市伝説話以上の情報は見つからず、途方に暮れる。
「お、こさきっち!情報手に入ったかー?」
「いや全く」
「そもそも何探してんだ?教えてくれよ!」
見かねた犬飼が俺に話しかけてきたが、コイツに言ったところで解決するものだろうか。
だが俺一人では何も変わらないことも事実だ。
「……美し過ぎる殺人鬼、って知ってるか?」
「ああ。都市伝説だろ?多分アレ、学校周りによく出現するホームレスのお兄さんを勝手に弄っただけだと思うぜ」
……むむ。やっぱりそうなのだろうか。
まあ実際殺人鬼だったとしたら白昼堂々と外を歩いている訳が無くて。生徒達にも見られているらしいし。
「妙ちきりんなカッコしてっからさ、多分皆が面白がって都市伝説ってことにしちまったんだろうな。まさかこさきっち、あの人のこと調べたかったのか?」
「まあ……色々あってな」
俺がそう言うと犬飼はにんまりと笑って
「よし!そーいうことなら任せてくれ!」
と言って元気良く走っていってしまう。
「……いや、図書館では静かにしろよ」
と、一応言ってはみたものの、犬飼の耳には届いていないだろう。
俺はため息をつき、犬飼を見失わないように早足で後を追いかけることにした。
「おねーさん達!今暇?」
犬飼は突如足を止めたかと思うと、恐らく大学生4人組の女性に話しかけている。話しかけられた女性達も満更でも無さそうだ。
おい、図書館でナンパするなよ……ここはそういう場所じゃないだろ。
「どうしたの?デートのお誘い?」
「へへー、お誘い出来たら良かったんだけどさあ。ちょっと聞きたいことがあって。羽織と下駄となっがい髪が特徴のホームレスのお兄さんって、知ってる?」
俺は奴のナンパ行為を止めようと近づこうとしたが、どうやらあのホームレスのことについて尋ねていたらしく、足を止める。
「えー、そんな人いるのぉ?」
「私も知らないかな。皆、知らないよね?」
「う、うん……!知らない、知らない……かな」
「そうね。私も知らないわ。ごめんね、お役に立てなくて」
どうやらあの4人組はハズレだったらしい。
というかあんなキラキラした女子大生がホームレスと関わり合いになる筈が無いよな。
そして俺は犬飼を連れ戻そうとしたが、そうはいかなかった。
「ちょっとそこの眼鏡のおねーさん、聞きたいことがあるから……ついてきてくれる?」
「えっ……!わ、私……!?」
何と犬飼は一番大人しそうだった眼鏡の女性の手を引き、連れ出そうとしたのだ。
「やだー!ナンパされてるじゃーん!」
「こっちは良いから、行ってらっしゃーい!」
「えー、私も連れ出されたかったなあ」
友達であろう3人組はノリノリ。誰も止められそうな奴がいなかったので俺が止めに入ろうとしたが犬飼はこちらと目を合わせ……首を振った。どうやら任せろということらしい。
そして何かスマホを弄る仕草をしながら、女性を連れて行ってしまう。
その時、犬飼からMINEが届く。
『この人だけ歯切れが悪かった。多分何か知ってるだろうから聞き出す。バレないようについてきてくれ』
あの一瞬でこれ打ったのかよ……!
というか、女性が何か隠していることも見抜いていたのか。アイツ、実は頭良いんじゃ……。
そんなことを思いながら、俺は指示通りに犬飼の後をこっそりつけることにした。




