11-8
……………!!
突然、パトカーのサイレンが辺りに鳴り響く。
「……チッ、勘づかれたら面倒だな」
サイレンの音に反応したのかホームレスの男は俺の首から手を離してそのまま全速力で逃亡してしまった。
俺は先程まで殺されかけていたのにも関わらず、もう見えなくなった男の後ろ姿を思い出して「めちゃくちゃ足速いなあ」なんて呑気なことを思っていた。
「コサキ!コサキ!大丈夫であったか!?」
「……山田?」
呆然としている俺に駆け寄ってきたのは山田だった。パトカーじゃない。
「パトカーは?」
「我が動画サイトの音源を鳴らしただけなのだよ。……何があったというのだ?」
「俺も……よく分かんねえ」
「そうか……。少し、そこで待っているが良い」
今一人になるのは避けたかったが、歩く元気もない。
俺は言われた通り、その場に待機することにした。
「……待たせてすまないのだよ。飲めるか?」
「……おう」
山田は自販機で珈琲を買いに行ってくれたらしい。逆に気遣わせて申し訳ないが、有難く頂くことにする。
珈琲を一口飲むと、気持ちが落ち着いた気がした。
俺は、はぁっと息を吐き出し、山田の方へと向き直る。
「悪い。助かった」
「構わぬ。ところで先程の男は……」
……まあ、やっぱりその話になるよな。俺も対してどんな奴か知らないんだけどさ。
「えっと……」
「先程の男はもしや、《美し過ぎる殺人鬼》では無いか……?」
……は?
俺が返答に困っていると、山田が口を開いたのだが、彼の口から出た言葉は……少し、いやかなり奇妙なワードだった。




