11-2
「……は?家出?」
いや、外は大雨だぞ。しかも風もめちゃくちゃ強いときた。
こんな中、外に出るなんてどう考えてもやばいことくらい分かるだろ。
そしてそのタイミングでドンドンと部屋の扉が叩かれる。
「……有翔!?」
「サキ!どうしよう、どうしよう……!」
訪ねて来たのはびしょ濡れになった有翔だった。恐らく外で源氏を探しながらあのMINEを俺に送って来たのだろう。
「と、とにかく部屋に入って着替えろ!」
「そんなことしてる暇無いよ!ひかちゃんを探さなきゃ……!」
……ううん。今の有翔に何を言っても響かなそうだ。
だが仕方ない。大切な家族がこんな悪天候の中家出したら俺だって冷静では居られないかもしれない。……俺に家族は居ないけれど。
「分かった。だが俺も着いていくからな」
「サキ……!ありがとう……!」
────のまのまイェイ!のまのまのまイェイ!
……しかし、そんな緊迫した場にはそぐわない有翔の着信音が流れ出す。
「ご、ごめん。出るね」
ったく、誰からだよ。まあこれで少しでも有翔が落ち着いてくれれば良いんだが……と思いながら画面を覗き込む。
《ハルくん》と表示されていた。どうやら会長からの電話らしい。
「も、もしもし!ハルくん?」
俺が覗き込んでいることに気づき、有翔はわざわざスピーカーモードに切り替えてくれた。おかげで電話越しの会長の声が俺にも届く。
『有翔かい?ようやく繋がったよ。何度かけても出てくれなかったから外に居るんじゃないかって心配した』
「ご、ごめんね。今サキのところにいるの。ひかちゃんが居なくなっちゃって、今から探そうと思って……」
『ああ。私もそのことで電話したんだよ。源氏くん、うちにいるよ?』
カシャン!
有翔が思わずスマホを落としてしまったので、俺が慌てて拾い上げる。
「か、会長のところに?」
『おや、聞いていたのかい?』
「ぶ、無事なの!?ひかちゃんは大丈夫なの!?」
有翔も俺に続いてスマホに問い掛ける。
会長はスマホの向こう側でクスクスと笑って、言った。
『源氏くんは無事だよ。怪我ひとつしていないさ。とにかくこっちにおいで。迎えを寄越すよ』




