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「……ぅ、」
気絶していたのか。俺は。
頭が痛い……。何も思い出したくない。
「大丈夫かい?神凪くん。部活の話はまた後にしようか?」
「部活……?」
部活の話、だと?
その言葉に俺の頭がどんどん覚醒して来る。
そうだ。さっき、楪が。
「そんな話してる場合じゃないだろ!?」
俺は迷わず会長に掴みかかった。
「な、何してるんだよこさきっち!」
そんな俺を見て、犬飼が慌てて止めに入る。
「離せ!人が死んでるんだぞ!?」
「ええ!?何の話だよ!?」
「ふざけるな!お前だってさっき見てたじゃないか!」
「……えっと、私が見る限り誰も死んでいるようには見えないんだけどなあ……?」
イライラする。俺を止めようとしてくる犬飼にも、困ったように笑う会長にも。
何でそんなに冷静なんだよ。目の前で人が死んでるっていうのに──────
「サキー!れーくん!ハルくん!」
俺の背後から、聞こえるはずの無い声が響き、俺は会長から手を離して振り返る。
「ゆ、楪……なんで……」
さっき俺の目の前で死んだ筈の楪が、ジュースを両手に抱え、笑顔でこちらに向かって来ていた。