10-10
「……なあ、直樹」
「ふえっ!?な、何!?」
暫く黙っていた俺が急に声を出したものだから驚いたのだろう。直樹は変な声で返事をしてくれた。
「そのノートで人の心を操ったとして、本当に犬飼は幸せになれるって思ってるのか?」
「それは……」
結局、本人の意思とは関係なく自分の思うがままに人を操るようなものだ。
でも、犬飼は恐らく鮫島と仲直りをしたがっている。その点では直樹と願い事が一致しているじゃないか。コイツらが手を組んで有翔を狙っている可能性だってあるんじゃないか……?
だけどこの2人には絶対に有翔を殺せないような場面が何度かあった。
あれはどう説明する?それとも全員が共犯……?
「ち、ちょっと!神凪先輩!」
「……あ?」
どうやら俺は相当ヤバい顔をしていたらしい。直樹の声によって泥沼に入りそうだった思考回路がぴたりと止まる。
「別に僕は本気でノートが存在するなんて思ってないし!ただ都市伝説にすらも縋りたくなっちゃうよねってだけ!」
慌てて直樹が言い訳するがそれは本心か?
だってさっきまで有翔のことをあれだけ気にしていたじゃないか。
「ほら!サボってるって思われちゃ嫌だし!さっさと作業しよ!」
……駄目だ。悪い風にしか考えられなくなっているな。一旦落ち着かないと。
でも、これだけ容疑者が有翔の近くに……それどころか同じ部活に集められて。
それを単なる偶然で片付けてしまってもいいのか?
なあ、会長。
俺達が集められたのは本当に偶然か?
それとも、アンタはこれすらも狙っていたのか……?
第十一話に続く……




