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「作業しながら話してあげるから、手止めないでよね」
「お、おう」
直樹の話に耳を傾けながら草むしりを再開する。直樹は淡々と語ってくれた。
「幼なじみなんだよね、僕と零士先輩」
……幼なじみ。ということは鮫島のことも知っていた、ということだろうか。
「鮫島先輩のことは、よく知らなかった。そもそも僕と零士先輩は幼稚園が違ったから。父さんの会社で零士先輩の父親が働いてるからさ」
「ち、ちょっと待て。今無視出来ない単語が聞こえた気がするんだが」
「へ?何のこと?」
「その、父さんの会社とかどうとか」
「ああ。僕の父さん、社長なんだよね」
あまりにもサラッと流されたものだから、逆に驚いてしまった。
ということはコイツは社長の息子。お坊ちゃまな訳だ。どうりで生意気な性格な訳だ。
「何。アンタも家柄で僕に擦り寄ってきたりすんの?」
……やっぱりクソ生意気だ。しかし、過去に色々苦労したんだろうということも容易に想像出来る。
「いや別に。だってそれ凄いのはお前の親父さんであって、お前はその息子ってだけだろ」
「そういう言い方されても逆にムカつくけど。まあその通りなんだよね。僕は会社継ぐ気も無いし、僕の友人関係なんて父さんは興味無いからね。媚売られても無駄ってワケ。……それで、逆に孤立しちゃったんだけどさ」
……シン、と場が静まる。
こういう重い話は苦手だ。どう反応していいかも、話題の切り替え方も分からない。
「ふ、変な顔」
場を察したのか、先に声を出したのは直樹だった。
「……お前のせいだろ、これは」
「ごめんね。神凪先輩にはちょっと重かった?」
「うるせえ馬鹿」
「……まあ、話戻すけどさ。僕が孤立しようがしつこく構ってきたのが……零士先輩だったんだよね」




