10-3
「……マジかよ」
こういう時の嫌な予感は、当たる。
今日の部活は学校の雑用だったのだが、俺と直樹は学校周りの草むしりを命じられた。
それだけならまだ良いのだが、あの会長は俺の耳元でこう言いやがったのだ。
「直樹くん、何かあったのかな?それとなく探ってくれないかい?」
……クソ。俺は探偵じゃないんだぞ。
こうやって他人のプライバシーに踏み込むようなことは好きじゃないんだ。
別に犬飼と直樹がどんな理由で揉めていたからって俺には関係の無いことだ。
なのに無理矢理調べさせられるようなこと……嫌だったから止めたのに。直樹め。お前のせいだぞ。
「……何」
どうやら俺が恨みを込めた目つきで睨んでいることが気づかれたらしい。直樹も睨み返してきた。
「あのさあ。そんなに草むしりが嫌だったわけ?」
「まあ、一番面倒くさそうな作業ではあるけどな」
一番面倒なのはお前のことを探らなきゃいけないってことだが。
「グダグダ言っててもしょうがないよね。会長に見られてもメンドーだし。やろっか」
「おう」
良かった。睨んでいたことはあまり突っ込まれなかったようだ。
しかし、どうやって探ろうか。また不機嫌になられても面倒だしな……。
「どうしたの。早速手止まってるけど。サボり?」
「いや、少し考え事をだな」
「はあ。別にどーでもいいけどさ。ちゃんとやってよね」
怒られてしまった。確かに今のは俺が悪いので何も言い返せない。
しかし、どうやって話を切り出すか……。有翔みたいな奴が相手なら直球で聞けるんだがな。
「あのさ!また手止まってるし!」
「……あ」
「もう!しっかりしてよ!」
「悪い……」
声のトーンが本気だったので、流石にしっかりと謝った。
そんな俺の様子を見て直樹はため息をつく。後輩に呆れられてしまった。情けない。
「……そんなに気になるの?僕と零士先輩のこと」
「……え」
「どうせそのこと考えてたんでしょ。ほんと、他人のことに首突っ込みたがる人多いよね」
まさか向こうから話を振ってくれるとは思わなかった。まあ、聞きたいのは俺じゃないんだけどさ。




