1-7
「……は?」
俺は目の前で起こったことが理解出来ず、ただ呆然とするしか出来なかった。
周りもそうだったようで、まるで時が止まってしまったかのように誰も動かず、誰も声を発しなかった。
「……っ!アリちゃあああああん!!」
最初に声を発したのは犬飼だった。
それを切っ掛けに、次々と叫び声が沸き起こる。
それでも俺には何が起こったか分からず、その場に立ち尽くしている。
だって、意味が分からないだろ。
こんなの理解出来る訳ないだろ。
さっきまで笑ってた楪が、死んでるなんて────
「……………っ!!」
……立てない。
俺はその場に座り込んでしまう。
「……大丈夫かい?神凪くん」
「あ、あ……楪の、頭に……植木鉢が……」
……直撃した。
頭が砕ける瞬間も、しっかり見てしまった。
「う、うううぅ……」
把握した瞬間、激しい吐き気が襲いかかって来る。無理だ、こんなの。
というかそもそも何でアンタはそんなに平気なんだよ、会長。
「大丈夫な訳、あるかよ……」
急に目眩が襲いかかる。座ってすらいられない。
俺は限界を迎え、そのまま倒れ込む。
最後に目に映ったのは、酸素に触れて赤黒く染まっていく、楪の血だった……。
第二話に続く……