10-1
「サキ!会いたかった!」
ゴールデンウィーク明け。
登校するや否や突然有翔に駆け寄られる俺。
やめろクラスメイト。ヒソヒソするな。
「会えなくて寂しかったぁ…!」
「ちょ、抱き着くな!」
思わず背後を確認する。よし、源氏は居ないな?
「……馬鹿。たった3日くらいだろ」
「それでも寂しかったの!」
……まあ、お前にそう思って貰えるのは、悪くはねえけどさ。
「よー!朝からアツアツだったな!夫婦!」
「えー!?神凪くんと楪さんって付き合ってるの!?」
……しまった。
まさかうちのクラスが誰々が付き合ってる付き合ってないで盛り上がれるくらいのガキばかりだとは想定していなかったぞ。
「は、はわわ!そ、そんな……!サキに悪いよぅ……!」
「楪さん可愛い〜!サキって呼んでるんだ?ねえ、私も神凪くんのことサキって呼んでも……」
「断る」
これは有翔だから許しているんだ。有翔も俺の許可無く無理矢理呼んできたようなものだが。彼女のグイグイ来る感じは、何故か不快感が無いからな。
「いちいち照れるな。余計に勘違いされるぞ」
「は、はう……!ごめんなさい……!」
というか何でこんなに噂が広まるのが早いんだ。お前ら全員暇人か?
……と思っていたら聞き覚えのある煩い声が耳に届く。
「あのさあのさ!さっきこさきっちとアリちゃんがハグしてたぜ!絶対あの2人付き合ってるよなあ!?」
「……犬飼」
「あ!こさきっちおはよー!アリちゃんとの関係、聞かせてもらうぜ!大丈夫!俺恋バナ大好きだから─────」
「……成程。噂の出処はお前か」
……俺は持っていた鞄を、静かに振り上げた。




