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「……こ、コサキよ……卵は確保出来たか……」
「ああ……死ぬかと思ったぜ……」
結論から言うと、俺達2人は卵をしっかり確保することが出来た。主婦の洗礼は受けたが、何とか。
「ふ、ふふ……これで我は久々に卵に舌鼓を打てるということだな……感謝するぞ、コサキ」
「そりゃどーも……」
「ふむ、だいぶ疲弊しているようだな……」
「いや、お前もだろ……」
「……仕方あるまい。我の家はここから近い。休んでいくが良い」
……それは好都合だ。
会長に山田のことを探れと言われても、さっきは調べる暇なんて無かったしな。家なら色々情報あるだろ。
「……時にコサキよ。一つだけ、約束して欲しいことがあるのだ」
「……?」
急にそんなことを言われても分からないが、とりあえず頷いておく。
「わ、我の本当の住処はもっと豪華な城であるが……今から案内するのは我が身体を拝借しておる人間の住居であってだな。決して我が」
「あーはいはい分かった分かった」
確か魔族とかそんな設定だったよな。別に普通の家だって気にしないっての。
「そ、そうか……!助かる」
「お、おう……?」
そう言って山田が立ち止まった先には、かなりボロ……いや、年季の入ったアパートが佇んでいた。
マジか、これ。今にも崩れそうに見えるんだが、耐震性とか大丈夫か?
そもそも雨漏りとかもしそうなんだが。
……まあ、あれだけセールに必死になっていたし裕福では無いとは察していたが、ここまでとはな……。
「……コサキ……?」
おっと。思わず沈黙してしまった。変に気遣わせないよう、俺は慌てて返事をする。
「……いや、何でもない。苦労してたんだな」
「は、ははは!我の拝借した人間の身体はあまりにも貧しくてな……!」
「良いから。とっとと休ませてくれ。疲れちまった」
「う、うむ!承知した!」
……コイツが厨二に拘るのも、何となく分かった気がした。




