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「ふふ。ちゃんと名前を名乗らないとね!私は高本晴臣!私立富士見学園の生徒会長さ!」
「……はあ、そうですか」
名乗られても困る。そもそも何の部活かも説明されていないのに入ると決意出来る方がおかしいと思う。
「……ああ、そうか!うっかりしていた!私の作ろうと思っている部活はね……」
俺の表情から察したのか、何も言っていないのに会長は部活の説明を始める。
まあ、内容によっては考えなくも無いが、運動系なら速攻でNGだ。
「サキー!れーくん!ハルくん!」
説明を受けている中、楪が両手に缶ジュースを抱えてこちらに向かって走って来る。どうやら逃げた訳では無かったらしい。
「何だ。本当にジュースを買ってきてくれたのか」
「ああ。有翔は気の利く良い子だからね」
……呼び捨てか。楪と会長は随分仲が良さそうだ。
「ええっ!?まさかこさきっち、アリちゃんが逃げたと思ったのかよ!?」
あの状況で姿を消したら誰だってそう思うに決まってるだろ。疑った俺が悪いみたいに言うな。
「……仕方ないだろ。だって─────」
─────その瞬間、
俺の目の前が、鮮血に染まった。