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「……何で、そんなこと気になるんだ」
迷った俺は、鮫島に探りを入れてみることにする。
「あー……いや、何となく、か……?」
……歯切れが悪いな。しかし、犯人だとしたらここまで分かりやすいものだろうか。
もう少し、追求してみることにする。
「何となく?」
「いや、なんつーか……犬飼が……」
「犬飼が?」
「……………………」
そこまで言ってだんまりはナシだろ、鮫島。
俺は更に追求する。
「犬飼がどうしたんだ」
「何でもねえよ、別にアイツとは……」
「何でもないことないだろ。何を隠してる」
「だから何でもねえって……!」
「何でもないなら言えるだろ。正直、怪しいぞ」
「は!?あ、怪しいって……」
流石に責めすぎただろうか。
しかし鮫島は俯いたかと思うと、ぽつりと呟く。
「れーちゃんが……何か巻き込まれてるんじゃねえかって……」
「れーちゃん?」
思わず復唱してしまう。
鮫島にちゃん付けが出来るような女友達が居たのか?
いや、でも今は犬飼の話をしていたのに途端に女の話をするだろうか。
「ち、違う!何でもねえ!」
「いや、確か犬飼の下の名前は零士だったよな。まさかれーちゃんって、犬飼のことじゃ」
「あーあーうるせえうるせえ!!お前が最近悪いことばかり起きるとか犬飼が心配とか言いやがるから、アイツに何か起きてんじゃねえかって心配になっただけだ!クソッタレ!!」
……成程。やっぱり《れーちゃん》とは犬飼のことだったのか。
そしてこの反応で俺は確信する。コイツは絶対にシロだと。絶対にコイツは人殺しなんて出来るような奴じゃないと。
だけど、やっぱり身体の傷が気になる。
そこは上手いこと聞けないだろうか……?
「確かにれーちゃんが来ないのも心配だよな。今日アイツに呼び出されたのに」
「!?!?古、テメェ!!」
「……まあ、冗談抜きで犬飼が来ないのは心配だ。何とか連絡が取れたら良いんだが……」
会長に聞いたら何とかしてくれないだろうか。
そんなことを考えていると、ガラリと教室の引き戸が開けられる音がした。
俺達2人はそこに立っていた人物を認識した途端、驚きで目を見開くのであった。




