8-1
『こさきっちー!ちょっと今から出てこれるー!?』
ゴールデンウィーク3日目の朝は、チャラ男からの着信で目が覚めた。
「……もしもし。お前、犬飼か」
『おー!よく分かったなー!』
「何で俺の番号を知ってる。誰にも教えてないぞ」
『え?よろず部のグループMINEでこさきっちの連絡先回ってきたから、皆知ってるぜー?』
それは、個人情報の漏洩じゃないのか。
きっと回したのは会長に違いない。このスマホは会長に貰った物なので、会長は間違いなく番号を知っているからだ。
まあ、生活が保証されているのは会長のおかげでもあるから、俺はあの人に逆らえないが。
それにしたってまず俺に連絡を入れて欲しい。
『こさきっちもMINEやろうぜ!』
「嫌だ。ああいうのめんどくさそうだ」
『なら何かある度俺が毎回こさきっちに電話するけどいいかー?』
……そっちの方が面倒そうだ。
仕方ない。あまり乗り気では無いが、MINEをダウンロードしておくことにする。
「……て、今はそんな話は後だ。今から出てこれるかって、どういうことだよ」
まあ、正直嫌な予感はしている。
『あ、そうそう!会長から連絡来てさ!依頼が入ったって!そんで今回は……』
「断る」
犬飼が言い終わる前にこちらの言葉を被せてやった。
確かにゴールデンウィーク中に依頼が入る可能性があるとは聞いていたが、俺だって休み期間くらいはゆっくり休みたい。
というか会長はいつでも俺を呼び出せるようにスマホを渡したんじゃないだろうか。途端にこのスマホが胡散臭く見えてきた。
自分で頼むのではなく犬飼を通して頼んでくるところもいやらしい。
『ええっ!?まだ全部言い終わってないのに!?』
「どうせ俺が参加させられるんだろ。断る。今日はゆっくり寝るって決めてたんだ」
『困るって!今回は俺とこさきっちが2人でやることになってんのに!』
……マジか。この陽キャと2人きりとか余計に断りたくなってきた。
まあ元より行くつもりも無いが……。
ピロン♪
先程ダウンロードしたばかりで誰も友達登録などしていないMINEの通知音が鳴った。
「……は?嘘だろ……?」
『どうした?こさきっち』
電話越しの犬飼の疑問はスルーして、恐る恐るMINEを開く。
《今日の部活で上手く犬飼くんのこと、調査してくれたまえ。任せたよ☆ 高本晴臣より》
な、何で俺がMINE登録したってバレてるんだ!?今さっき登録したばかりだぞ!?
ま、まさか……何処かで監視されている?俺の行動は全て筒抜けなのか?
「い、行く。何時に集合だ?」
『え!来てくれんのか!?やったー!えっと、時間は……』
MINEの仕組みなど全く分からない俺はビビってしまい、行くと返事するしか無かった。
それに、会長に逆らったら路頭に迷う可能性もあるからな……クソ。




