7-5
「……でも、ぼくの死がトリガーなんだとしたら、やっぱりさっきのループはおかしいよね」
「ああ。それは俺も思っていた」
今日の……いやもう日付が変わったから昨日か。
とにかく先程のループでは有翔は生きていて、死んだのは源氏だった。
だったらループのトリガーは一体何だったのか。それが分からない。
「あ、そうだ!もしかしたら神様がループさせてるのかも!」
「神様ぁ?」
また唐突な。
まあ確かにループ能力なんて持ってる奴は、もはや神と言っても良いんだろうけどな。
「自分に気に食わないことが起きたら、戻っちゃえー!って戻してるんだよ!きっと!」
「神様が?」
「うん!」
それはまた随分自分勝手な神様だな。
「……まあ、着眼点は悪くないかもしれない」
神様かどうかは分からないが、このループは自然なものではなく、何者かの意思で行われていることは間違いないだろう。
「ほんと!?やっぱり神様かな!?」
「それは現実的じゃないだろ。そもそもループも現実的じゃないけど、そこは置いとくとして。ループ能力を持ってる奴が自分に不都合なことが起こった瞬間にループさせてるんだと思うぞ」
「じゃあやっぱり神様……」
「じゃなくて。そいつは有翔や源氏に死なれたら困る奴ってことだろ。だったらお前ら2人の親しい人物って考えられないか?」
俺の言葉に有翔はポンと手を叩く。
「成程!やっぱりサキって頭良いね!」
「いや、まあ……これくらいは辿り着けるだろ」
「でもぼくら2人の共通のお友達なんて……」
「そこは多分、有翔に執着してる奴だとは思う。源氏が死んで、時を戻したのは……源氏が居ないと有翔が泣くからだろ」
「そっかあ……誰なのかな。戻してくれてる人」
……というか、問題はそこではない。
ループさせているのが誰かなんてこの際どうでもいい。いや、どうでも良くはないか。でも大事なのはそこじゃない。
誰が有翔の命を狙っているか──────
結局これを解決しないことにはループは止められないのだ。
「ループ能力者が誰かってのはとりあえず置いとこう。目的はともかく、今は俺達の味方だと考えていい」
「うん。その人が何考えてるかは分からないけど、その人のおかげで助かってるってことも事実だもんね」
「ああ。まずはお前の命を狙っている奴を暴かないと」
「ぼくは殺される瞬間の記憶は引き継げない。だからぼくが殺される瞬間をサキが見ててくれれば……サキが記憶を引き継げるもんね!」
何となくその能力者の掌の上で踊らされている気がしないでもないが、俺達もその能力を利用させて貰うことにする。
「それに、ぼくが狙われてるせいでひかちゃんも巻き込まれちゃって。それが本当に許せない。だからサキ、協力して」
「元からそのつもりだ」
ただ、少し気がかりなことがあった。
俺の目の前で有翔が殺されたことがあったが、その時は植木鉢が落ちてきたり硝子が刺さったり……犯人が直接有翔を手にかけた訳では無かった。
なら有翔に張り付いていたとしても、犯人を見つけるのは難しいのではないだろうか。
もしかしたら、犯人もループに気づいて────
「……サキ?どったの?」
「……いや、何でもない」
今アレコレ考えても仕方ないか。やれることからひとつずつ潰していこう。
「ま、とりあえずこれからよろしくね!サキ!」
「おう、よろしく……って何床で寝ようとしてやがる」
「え?だってもう遅いし、帰るの怖くなっちゃったんだもん!」
確かにこの時間に一人で帰らせるのは危な過ぎる。
だからといって、泊めるのもそれはそれで恥ずかしい……!
「せめてベッド!ベッド使え!」
「だってベッドはサキのでしょ?勝手にお邪魔しといて使えないよ〜!」
「いやいや!女を床に寝かせる訳にはいかないだろ!?」
いやまあ正しくは男だけど!もう女みたいなもんだ、コイツは!
その後、30分の説得により俺は何とか有翔をベッドで寝かせることに成功したのであった……。




