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ヨロズブ  作者: 有氏ゆず
第七話 彼女と協力することになったんだが
48/251

7-1







……泣くなよ、有翔。


俺のことなんて心配しなくていい。

俺なんかより、お前の方がよっぽど辛いだろう。


だから、俺なんかの為に、涙を流さないでくれ……。












「……キ、サキ!サキ!」

「……!!ここ、は……?」


……ライブハウスだ。

気絶してそれほど時間が経っていなかったのだろうか。




「全く、幾ら姉さんの演奏が神がかっていたとはいえ気絶するなんて。姉さんに心配かけないでくださいよ」


そしてこの憎たらしいクソガキは……源氏!?


「お、お前!生きてたのか!?」

「はあ?勝手に殺さないでくださいよ!」


いや、あれは確実に死んでいた。生きている訳が無い。

しかし、目の前の源氏は死んでいるどころか怪我ひとつしていない。


それに、ライトだって落ちていない。




「まさか……戻った、のか……?」


時が戻るトリガーは有翔の死じゃなかったのか?

でもこの状況は時が戻ったとしか考えられない。


「ね、ねえ!サキ!ひかちゃん!とりあえず外に出よ!ぼく、ちょっと外の空気吸いたくなっちゃった!」

「え、いや俺は構いませんが、メンバーのところに行かなくて良いのですか?」

「ちょっとだけだから!ね!ね!」


言いながらも有翔は無理矢理俺達2人の手を引く。何処か焦っているようにも見えるが……気の所為だろうか。






ガシャーン!!






……その直後、俺達の背後で何かが落下した音がした。


恐る恐る振り向くと、そこには時が戻る前にも落下したライトが……再度全く同じ場所に落下していた。


違うのは、源氏が下敷きにはならなかったということ。




「な、何ですか、これ!」

「大丈夫!?ひかちゃん!怪我してないよね!?」

「お、俺は大丈夫ですが……他の方は!?」


幸い、誰も怪我はしていないようだ。

それを確認すると、有翔はボロボロと涙を零し始めた。


「ね、姉さんっ!?」

「良かった……良かったよぉ……」

「ど、どうしたんですか!?何処か怪我をしたんですか!?」


焦る源氏の問いには答えず、有翔は源氏に抱きついて泣きじゃくるだけだった。






そしてそんな彼女の姿を見て、俺はあるひとつの仮説に辿り着いたのであった。





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