6-2
「さて、山田くんが入ってきて早々なんだけど、明日からゴールデンウィークだね!」
……ああ。もうそんな季節なのか。
記憶が無いから今何月だとか何日だとか、そんな感覚が全くなかった気がする。
「ちょ、まさか休み中も部活とかじゃないよね!?」
「直樹くん、いい質問だね!勿論依頼が入れば部活はするけど……基本は休みさ!」
「ああもうやっぱり!絶対依頼が入りませんように!」
くいくい。
「……ん?」
会長と直樹のやり取りをぼんやり眺めていると、突然袖を軽く引っ張られる。
「楪……?どうしたんだ?」
「えっと、明日からゴールデンウィークだね」
「おう、そうだな」
「えっと、うーん、楽しみ、だね!」
……楪の歯切れが悪い、気がする。
まだ一ヶ月くらいしか一緒に過ごしていないが、コイツは黙ってても自分から勝手に喋り出すような奴で、こんな風にこっちの顔色を伺うなんて珍しいというかなんというか。
俺が黙って楪を見つめていると、楪は意を決したかのようにこう言った。
「あ、明日っ、ぼくとデートしてください!!」
「ダメです!!」
……今、被せるように返事をしたのは俺では無い。
「ひ、ひかちゃん!?どうして!?」
「ダメです!!こんな男と2人きりになったら何をされるか分かりません!こんな、姉さんをふしだらな目で見ているような男なんて……!!」
いや、ふしだらって。お前俺を何だと思ってるんだ。
「デート!成程、良いじゃないか!私は応援するよ!」
「いやアンタは絶対面白がってるでしょ……」
楽しそうに目を輝かせる会長に、呆れる直樹。
ポンッ
どう返事していいか分からず戸惑っていると、俺の両肩に2人の手が置かれた。……犬飼と鮫島だ。
「「お前、避妊はちゃんとしろよ」」
「いや、そもそも付き合っていないんだが」
「揃ったな、たい……鮫島!やっぱ俺達相性ぴったりじゃん!」
「うるせえ被せてくんな馬鹿犬!!」
否定するも2人は喧嘩(じゃれ合い?)を始めてしまい、多分俺の声は届いていないだろう。
というか、お前ら絶対仲良いよな。
「や、やはり破廉恥なことを考えていたんじゃないですか!このクソメガネ!!」
「違う。アイツらが勝手に言ってただけだろ。そもそも俺は行くなんてまだ言ってない」
「はあ!?姉さんからのデートを誘いを断るなんて有り得ない!!」
行くなと言ったり断るなと言ったり。どうすればいいんだ、俺は。
「……やっぱり、ダメかな」
楪が泣きそうな顔で見つめてくる。
何だ、これ。ほんとにどうすりゃいいんだ俺は。
「……行かないとは、行ってないだろ。行くよ」
「……!ほんと!?」
……はあ。そんな嬉しそうな顔されて、今更行きませんなんて言えるかよ。
源氏が物凄い表情でこちらを睨んでいるが、それには気付かないふりをした。
「あれ?ひょっとして我の出番はここで終わり……?」
「そうだね!ゴールデンウィーク楽しんでね!」
「ひ、酷いのだよ会長!せっかく!せっかく満を持して登場したと言うのに!この扱いは!酷すぎるのだよ!!」




