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「何でこんなことになってんだ……」
「たまたま居合わせたんだから、仕方ないだろ」
「チッ……」
居合わせたからといって一緒に風呂に入る必要は無いと思うのだが、鮫島はそのことに気づかないようだ。
さては、コイツも馬鹿だな?
「何が悲しくてよく知らねー奴と裸の付き合いなんかしなきゃならねーんだ」
「仲良くなるには裸の付き合いが一番良いって言うだろ。まあ、俺は仲良くなりたいって思ってる訳では無いんだが」
「ちげーのかよ!つーかテメェ、いちいち腹立つなコラ」
まあ、からかいがいのある奴は嫌いじゃない。暇潰しになるからな。
「……で、何でお前はこの部に入ったんだ。入りたいって訳じゃなかったんだろ」
「ああ。本当なら部活なんかやってる暇なんかねーんだよ、俺は」
「ふーん」
「いやそこは何でとか聞かねーのかよ!」
「……まあ、正直興味無いしな」
「なら聞くんじゃねーよ!性格悪ィなテメェ!」
うん。非常に良いツッコミだ。
ガキがどうとか言ってたし、孕ませた女の子供を育てる為にバイトとかしなきゃいけないんだろうな。
「だから孕ませてねえ!弟と妹だ!」
「お前、当たり前のように俺の心を読むな」
「ならテメェは当たり前のように失礼なことを考えんな!!」
はいはい、弟と妹な。
そういうことにしておいてやるからそろそろ本題に入ろうか。
「テメェ!!」
だから心を読むなって。
「……入った理由は、脅迫されてんだよ」
「は?脅迫?誰に」
「それは言えねえ」
「ふーん?まあ、会長ってそういうこと普通にしそうだよな」
「そうなんだよ!アイツ、笑顔でとんでもねー要求してきやがる……!!あんな奴が学校のボスとか終わってんだろ……」
学校のボスって。生徒会長って別にそんな偉いもんじゃないだろ。
コイツの想像する生徒会って一体どんななんだよ。
いや待てよ。コイツ自体が《鮫島会》のボスだからこそ、生徒会をそういう組織だと勘違いして……
「おいコラ沈められてーのか」
「や、やめろ鮫島!海にだけは!」
「だから俺をその筋の人間って設定にしたがるのやめろやボケェ!!」
……まあ、ここまで話して分かったことがある。
恐らく鮫島は、楪殺害には全く関わっていないだろう。
確かにコイツは顔はかなり怖い。
見た目だけなら絶対何人か殺っていそうだし、何ならその筋の人間に見える。
それにちょっと突くとすぐにキレる性格だということもよく分かった。
だがアイツは俺を怒鳴りつけても、俺を殴ったりは絶対にしなかった。
だから俺は鮫島を「容姿が怖すぎて損をしているだけの実は良い奴」だと判断した。
「つーか、やっぱり会長に脅迫されてたんだなお前」
「あ……やべ」
「心配するな。俺が誘導したようなもんだし、黙っててやるよ」
「……テメェ、良い奴だな。古って呼んで良いか」
どうやら鮫島は少し……いやだいぶチョロい男らしかった。




