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「でもね、少し違うかな。ボランティアって訳じゃないんだよ」
「結局、何でもやらされるんでしょーよ……。クッソ、こんなの詐欺じゃん!」
不満を漏らす犬飼。
そんな彼を見て、会長は含み笑いをする。
「そうだね。誰のどんな依頼でも受けて、何でもする万事屋から取った名前の部活なんだけどね。ちゃんと報酬は出るよ」
「えっ、依頼者から金取んのかよ」
学校で行っている活動である以上、金銭のやり取りは問題になる気がするのだが。
第一、教師が認めてくれるだろうか。
「……流石に学校の部活としてやっている以上、依頼者からお金は取れないかな。先生にもボランティア活動だからって言って設立した部活だからね」
「なら、報酬っていうのは……」
「ああ、それは私のポケットマネーから出そうと思うよ」
……今この人サラッと言ったけど、それも問題なのでは。
お金持ちであろうことは、家を見ているので分かってはいたが。
「勿論、表向きはボランティア活動だから先生には内緒でね。働きによっては決して少なくない金額を報酬として支払おうと思うんだけど……」
「是非やらせてください会長様ぁ!!」
先程まで渋っていた態度から一変、犬飼が会長の手をガッシリと掴んで目を輝かせている。
成程。「現金なヤツ」とはこういう時に使う言葉らしいな。
「よし、よろず部早速活動していこうじゃないか!」
「「おーっ!」」
ノリノリで手を挙げる楪と犬飼。よくもまあ、得体の知れない部活にそれほどやる気が出せるものだ。
源氏や直樹は物凄くやる気が無さそうだが。勿論俺もだ。
「……あの、活動ってことは、もう何か依頼が来てるんですかね」
不機嫌そうに源氏が口を挟む。
待ってましたとばかりに会長は源氏に駆け寄り、源氏はそれに対して物凄く嫌そうな反応を見せた。
「よくぞ聞いてくれたね源氏くん!流石よろず部のエース!」
「エースになる気はありません。俺はただ姉さんが心配なだけです。姉さんが辞めたら俺だって辞めさせて頂きますので。俺に期待はしないでください」
……中学生が高校生の先輩(しかも生徒会長)にこれほど生意気な態度を取れるのはある意味尊敬する。
「ええっ、そんなこと言わないでくれよ!私はそれはもう君のことが欲しくて欲しくて堪らなかったんだから!」
「やめてくださいくっつかないでください気持ち悪い気持ち悪い!!」
あれだけ体格差があるのにも関わらず、抱き着いてきた会長を源氏は引き剥がせずにいた。
会長の力がやばいのか、源氏が非力過ぎるのか。両方だろうな。
「だって中学生でこの身長!そして紛うことなきイケメンくんじゃないか!彼が入ってくれれば部の宣伝になる!だから源氏くん、よろず部の為にしっかりと働いてくれたまえ!」
「……会長。どうでもいいんだけどさ、早く依頼内容を教えてくんない?依頼、来てるんじゃないの?」
どんどん話が逸れていきそうなところを、直樹が口を挟んで強引に戻させた。この後輩、デキる奴だな。
「ああ!そうだったね!」
そう言って会長はポンと手を打った。何だそのわざとらしいリアクションは。
「では記念すべき初めてのよろず部の活動は……校庭のドブ掃除さ!」
……会長の清々しい笑顔から汚らしい作業が伝えられた瞬間、俺達部員は絶望したのであった……。




