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ヨロズブ  作者: 有氏ゆず
第三話 いきなり部長に任命されたんだが
24/251

3-10





「なっ……!」


楪の弟の声が聞こえ、振り返ったと同時だった。

何も出来なかった。ただ、何が起きているかを頭の中で整理することで精一杯だった。


俺がぼんやりと眺めている中、暴走するトラックが、彼女を─────……














……もう一度ループすることを覚悟し、俺は目を閉じた。


しかし、《ズレる》感覚がいつまで経ってもやって来ない。




「……?」


恐る恐る目を開けると、そこには想像もしない光景が広がっていた。


まず、結論から言うと楪は無事。弟である源氏に抱きしめられている。源氏は号泣している。……要らないか、この情報は。






そして何故か知らないが……先程から一緒にいたホームレスの男が倒れていた。……血塗れで。






「……いや、何があった!?」


俺は思わず大声を出してツッコミを入れた。


「その男が……姉さんを助けてくれたんです」


涙を拭いながら源氏が答える。

……って、コイツが?コイツは俺の隣に居たはずだし、楪との距離は結構離れていたんだが?絶対に間に合わないと判断して、俺はもう一度ループする覚悟だったんだが?……間に合った?


コイツは……超人か何かか?




「……おう、嬢ちゃんは無事かァ」

「う、うん!ぼくは大丈夫……!」

「いや、お前が無事じゃないだろ!」


楪が無事なのは良かったが、楪の心配よりまず自分の心配をしろ!お前の方が絶対大怪我だろ!


しかも男は何事も無かったかのように起き上がった。


「俺ァ問題ねェ。……慣れてる」

「交通事故に慣れてるって、お前どういう生活してたんだ……」


病院に連れていくべきだろうか。でも普通に立ち上がってるみたいだし、見た目ほど酷い怪我では無いのかもしれない。






……と思ったが、男は立ち上がったと同時に……そのままその場に倒れ込んだ。






「……いや、やっぱり無事じゃないな!?」





第四話に続く……




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