3-7
急に視界がぼやけ、世界がぐるんと回った気がした。
気分が悪く、頭が痛い。
「……な、んだ。これ……」
ガンガンと頭が叩かれているような感覚がする。
俺は必死に目を閉じ、痛みを堪えた。
……かと思えば、何事も無かったかのように痛みは収まっていた。
「……?何なんだ、今の……」
「……あァ。何か、『ズレた』な」
「ズレ……?何が……?」
俺は独り言を呟いたつもりだったのだが、男は俺の言葉に返事をくれた。
「さっき、すげー気持ち悪かっただろ」
「……ああ。何か、言いようのない不快さだった」
「この世界ではアレが頻繁に起きやがる。そしてそれが起きると、時間が少しだけ戻ってンだ」
「はっ……!?」
俺は思わず時計を見る。確かに男と話していた時間の割には、それほど時計が進んでいない気がする。
「俺ァその現象を勝手に『時空のズレ』って呼んでるんだが」
「時空のズレ……」
微妙に厨二っぽいネーミングセンスだ。
普通なら信じないような話の内容だが、俺もこれまでに2回、時が戻るのを経験している。
そしてそれは、楪が死んだ直後の出来事で……。
「……おい、まさか」
つまりたった今、楪が殺されたということなのか……!?




