3-6
「……そんな身構えるんじゃねェや。なァに。ちょいと人探しをしてるだけさ」
「人探し……?」
住む家もないようなホームレスに探す人なんて居るのだろうか。いや、これは完全に偏見か。
「おい、何か失礼なこと考えただろ」
「いや、別に。……それより、どんな人を探してるんだ?」
どうしてこの世界の住人は人の心を読むことに長けているのだろうか。余計なことを考えないように気をつけなければ。
「……まァ良い。お前さん、チビで全身真っ白な女、見たことねェか」
「お前は何を言っているんだ」
真っ先に口から出たのは、正直な感想だった。
「それは全身白タイツってことか?」
「違ェ。アイツはそんな変態じゃねェ」
「……そうか」
「おい、残念がるなァ」
全身白タイツで街を練り歩く変態女がいるならば見てみたかったところだが、残念ながら違うらしい。
「全身真っ白って、最早幽霊か何かだろ」
「死んでねェよ。いや、死んでんのかァ……?」
……いや、どっちなんだ。
「流石に死んでいる人間を探すのは無理だぞ」
「俺にもよく分からねェんだよ、この世界が……」
「それは俺だってよく分からない────」
……いや待て。
危うく流しそうになったが、今コイツ、とんでもないことを口走らなかったか?
『この世界』がよく分からない。
それはまるで、ここ以外に別の世界があるように聞こえるじゃないか───────
「なあ、お前……」
男からしたら意味の無い言葉だったのかもしれない。コイツは頭がおかしくなっていて、訳の分からないことを口走っているだけの可能性もある。
でも俺はその言葉が気になって仕方なかった。
俺が男に問いかけようとした、その時だった。




