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「どうしても殺したい人物……?」
「そう。私は有翔を狙う黒幕を突き止めたい。だが、私一人じゃどうにもならない。そこでキミをよろず部の部長に任命して、私と共に黒幕を見つけて欲しいんだ」
それ、俺を部長にする必要あるんだろうか。
「キミを部長にする必要はあるよ。地位が高い方が動きやすいだろうし。そもそもよろず部は私が作った部活だ。そこの部長になってくれれば、私とキミが二人で行動しても怪しまれないという訳さ」
成程。一応、理にかなっている気はする。
しかし、当然の如く心を読むのは止めてもらいたい。あまりにも自然に触れてくるから、俺が口に出したのかと勘違いした程だ。
「とりあえず色々考えてみますけど。それ、楪が誰かに恨まれてるなんて話は……」
「無いね。そもそもそれ関係は既に調べてあるさ」
そりゃそうか。殺すなんて考える程だ。まず楪が恨みを買っていないか調べるだろうな。
「有翔は本当に学園中の人気者だからね。男だけど自分の好きな格好をして、制服を男女で固定化するのは良くないと思いますって発言したことから服装は自由になった。そういう意味でも有翔に憧れる生徒は多いんだよ」
「へえ、そうなんすか」
……って、んん?
今、聞き捨てならないような言葉が聞こえたような。
「あの、楪って女じゃ」
「ああ。彼女は身体は男性だよ。でも彼女自身は男だとか女だとか、そういうので自分を固定化されるのが嫌みたいなんだ」
……マジかよ。普通に女にしか見えなかった。
成程。あの無駄に強い力は男であるが故だったのか……。
「だから、彼女のことは今まで通り接してあげて欲しい。ここの皆は有翔の事情を知った上で、受け入れてくれているからね」
「ふうん……。まあその辺に偏見無いんで、分かりましたよ」
会長の話を聞いていると随分良い学校みたいだ。こんな学校に人殺しを企むような奴がいるようには思えないが……。
「……外部の人間の可能性は?」
「それも考えたけど。有翔の殺しは学校で起こっているだろう?」
ここが外部の人間が簡単に入れるようなガバガバセキュリティでなければ、内部の人間の可能性の方が高い……か。
「……いや、そういや俺は簡単に入れたんですが」
「ああ、そうだったね」
「やっぱり外部の可能性も考えた方が良いんじゃ」
「外部の人間に有翔を恨むような接点がある人がいるとは思えないけど……まあ外部の人間に関しては私が当たってみようか。神凪くんは内部を探ってみてくれ」
「……え。それは生徒会長のアンタの方が適任では?俺なんて転校生ですよ」
「私はどうしても生徒を贔屓目で見てしまいそうな気がするからね。まだ関係を築いていないキミの方が、曇りの無い眼で真実を見極められるような気がするな」
それは、どうだろうか。ただ少なくとも贔屓目で見ることはないと思う。転校生の俺には贔屓したいような奴は、居ないのだから。
「……分かりました。でも、あんまり期待しないで下さいよ」
「ああ!キミには期待しているよ!」
この人は俺の言葉がちゃんと聞こえているのだろうか。期待するなと言ったばかりなのに。




