3-2
「……っ!姉さん!無事ですか!怪我はありませんか!」
源氏が楪に駆け寄り、肩を揺さぶる。
「あうあう。ぼくは平気だよ。それよりもひかちゃんやサキは大丈夫だった?」
「ああ、俺は……」
「お前!どうして姉さんを突き飛ばした!?こうなることが分かって、姉さんを殺そうとしたんだろう!?」
いきなり酷い言われようだ。寧ろ俺は楪を助けようとしたのに。
「まあまあ落ち着きたまえよ源氏くん」
そんな中、悠々とこちらに歩いて来たのは会長だった。
「仮に神凪くんがこうなることを分かっていたとしても、もし有翔のことを殺したければ突き飛ばす必要なんて無かったんだ。そのまま放置していれば有翔は硝子を浴びて……。寧ろ突き飛ばすことによって、神凪くんはキミのお姉さんを守ってくれたんだよ」
「そうだよ〜!サキが居なかったらぼく、大怪我してたかもしれないよ!」
大怪我どころの話ではない。庇わなければ、お前は惨い死に方を……。
「……う、」
……つい死に様を思い出してしまった。思わず吐き気を催す。
「さあ、神凪くん!ちょっと二人で話をしようか!」
会長がトントンと背中を叩く。止めろ、そんなことされたら吐く……………あれ?
不思議なことに、吐き気が止まった。
「……会長、アンタ今……」
「さあさあ!私には時間が無いんだ!生徒会室に来てもらおうじゃないか!有翔は……そうだな!源氏くんがしっかりと送ってくれたまえ!」
「……はあ?そんなこと言われなくても、当たり前ですが」
俺の意見を聞かずに会長はグイグイと俺の腕を引っ張って行く。力が強い。振り払えない。
俺は会長に拉致されながら、「そういやあのチャラ犬はいつの間に消えやがったんだ」なんてことを考えていた。




