3-1
目が、覚めた。
「おい、大丈夫ですかクソメガネ」
気がつくと源氏に脛を蹴られている。何だこいつと睨み返してやった。
「急に意識が飛んで倒れるから、どうしたのかと心配してやったのに何ですかその態度は」
「お前だってさっきまで泣いてたじゃねえか」
……そうだ。さっき目の前で楪が死んで、こいつは泣き叫んでいたじゃないか。何でそんなに余裕なんだ。
「おまたせー!二人とも!」
「姉さん!ゆっくりで良いですから……!」
そんな俺の様子など意に介さないかのごとく、楪が手を振りながらこちらに走ってくる。
────────待てよ。
これって、さっきと同じことが起こってるんじゃ。
もう楪は死んだ筈だとか、どうしてこんなことになっているかとか、そんなことはどうでも良い。後回しで良い。
今、先程の出来事が間違いなく繰り返されているのだ。
ということはこの後、楪に起こるのは……
「楪っ!!」
「え、どうしたのサキ……うわあっ!」
俺は無我夢中で楪を突き飛ばす。
当然彼女は受け身も取れず、その場に尻餅をつく。
「おいクソメガネ!お前姉さんに何を……!!」
そりゃあいきなり自分の姉が突き飛ばされりゃあ怒って当然だと思う。だが、今は緊急事態だ。
「弟!お前も来るな!そこで止まれ!」
「はぁ!?誰がお前の弟だ────」
「きゃあああああああ!!危ない!!」
上から何かが割れるような音が聞こえ、直後に硝子が降り注いで来る。
しかし、俺は楪を突き飛ばしたので硝子は楪には刺さらず、楪の目の前に降ってきた。
……俺は確信する。
間違いない。どういう原理なのかは分からないし現実的ではないが、俺は時を繰り返している……!




