14-6
「……!お前は、神々廻黎一郎……」
「おう、俺のことを調べたようだなァ」
……出来れば会いたくは無かった。俺は前回会った時、コイツに首を絞められて殺されかけている。
「はッ、そんな分かりやすく警戒するんじゃねェや。今回はお前に用はねェんだ、コサキよォ」
「じゃあ誰に……っと!」
「預かっとけ。巻き込みたくねえからなァ」
神々廻は警戒する俺を鼻で笑うと、抱えていた源氏を俺に寄越した。突然のことでバランスを崩しそうになったが、何とか受け止める。
「……俺ァ、あそこの眉毛に用があるんだ」
神々廻の視線の先には会長がいた。……この2人、何か接点があっただろうか。
「会長のことか?」
「カイチョーっていうんだな」
「……あ」
よく分からないホームレス……しかも殺人鬼疑惑がある男にこちらの情報を漏らすのは間違いだったかもしれない。
だけどまあ、本名では無く教えたのは《会長》というあだ名だけだ。問題無いだろう。
「よォ、カイチョー」
「どうしたんだい?確か君はこの前会ったことがあるよね。君がトラックに轢かれた時、うちで看病したんだよ。君は気を失っていたから私のことは覚えていないかもしれないけれど……そんなことはどうでも良いって顔をしているね」
俺は心配になり、一応一定距離で2人の様子を見守ることにする。
あのチート会長のことだ。大丈夫だとは思うが、今の彼はいつもと様子が違う……気がする。
「……あァ。要求を単刀直入に言う」
「それは助かるね。……何だい?」
「テメェの家に匿ってる時を戻す女に会わせろ」
……時を戻す女?
もしかして、神々廻は戻している存在に辿り着いたというのか?
その存在は、会長が匿っている?
そして、確か神々廻はアルビノの少女を探していた。
まさか、時を戻しているのは……《少女》なのか……?
「……君が何の話をしているか、分からないな」
「しらばっくれンな。テメェのことは調べ上げたし、さっき女に時を戻せって電話してだろうが。……動揺して周りが見えてなかったようだが、残念だったなァ」
神々廻に問い詰められ、流石の会長の額にも汗が滲んでいる。しかし、表情はいつも浮かべる笑顔のままだった。
「君は私のストーカーかい?それに時を戻すなんて現実的じゃないね。夢でも見ていたんじゃないのかな」
「俺はその女に会いたいだけだ。そいつは俺の探してる女かもしれねェ」
「残念だけどうちに女の子なんていないよ」
会長のその言葉を聞き、神々廻は不敵な笑みを浮かべる。
「……墓穴掘ったなァ。俺ァ《子供》なんて一言も言ってねェぞ。ただ、女って言っただけだ」
神々廻のその言葉に、会長も笑みを崩さず返す。
「言葉狩りかい?私はただ女性のことを女の子という呼び方をしただけで……」
しかし会長は……その言葉を最後まで言い終わることが出来なかった。




