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「そんなことより、本当にお前……身体は大丈夫なのか?」
「ひょっとして、植木鉢のこと?大丈夫!ギリギリセーフだったよ!」
楪は本当に何とも無さそうだ。血が出ていないどころか傷すら見当たらない。
……俺が見たのは、本当に夢だったのだろうか。
「神凪くんは転校してきたばかりだろう?きっと疲れていて白昼夢でも見たんだろうね」
「会長……」
……ん?
危うくスルーしそうになったが、俺は会長に自分の名を名乗っただろうか。いや、一度も名乗っていない。
「会長、アンタ」
「さあ!そんなことより我が部活の説明をしようじゃないか!」
俺の疑問は会長のマシンガントークに掻き消されてしまう。
……まあ良いか。生徒会長なんだし、転校生の名前くらいは把握しているのだろう。多分。
「我が部活の名は《よろず部》!何でも出来る部活なのさ!」
「……なんでも?」
いや、説明はそれだけか?
それだけじゃどんな部活か想像もつかないんだが……。
「何でも!?マジで何でも出来んの!?」
ここでまさかの犬が食いついてきた。犬だけに。
「ああ!何でも出来るのさ!その為には人数が必要でね……。とりあえず後5人くらい集めようかと思っているのだけれど……」
会長が言い終わる前に、犬が俺の肩に手を回してくる。……おい、嫌な予感しかしないぞ。
「はいはーい!俺とこさきっちが入りまーす!!」
「はぁ!?俺は入るなんて言ってな」
「だってこさきっち!冷静に考えてみろって!何でも出来るんだぜ!?何でも!」
冷静に考えたらそんな怪し過ぎる部活に誰が入るだろうか。部活内容すら教えてくれないんだぞ。何でもって、具体的に何をするんだ。
「本当かい!?神凪くんには当たりを付けていたのだけれど、まさか犬飼くんまで入ってくれるとは!これで我が部活も安泰だね!」
「いや俺はまだ入るなんて言ってない」
「さあさあ!気が変わらないうちに入部届けを書いてくれたまえ!」
「おっけー!俺がこさきっちの分まで書いとくからな!」
「いや聞けよ!」
こうして俺の意見は完全にスルーされたまま、俺は得体の知れない部活……よろず部とやらに入部することになってしまったのである。




