13-9
『もしもし、やっと繋がったよ』
「す、すみません会長。ちょっと色々トラブルがありまして」
『トラブル?不良にでも絡まれたのかな?』
やっぱりこのスマホ、何か細工がされているんじゃないだろうか。どうして不良に絡まれたなんて分かるんだ……。
「ま、まあそんなところです。もう解決したんで戻ります」
『そのことだけどね。とりあえず今日はもう解散したんだ。備品は私が必要なだけだから、部員に待ってもらう必要は無いからね』
待たせすぎだ……ということだろうか。
そういえば会長の弟に会ったことを報告しておいた方が良いだろうか。というか、今電話を代わって貰ったら……
「……あれ?」
しかし、先程までそこに居たはずのアキさんは消えていた。
「山田、アキさんは?」
「嗚呼。用があるとかで先に帰られたのだよ」
『……アキに会ったのかい?』
電話越しの俺と山田の会話が聞こえていたらしく、会長が問う。
これは別に隠す必要も無いか。正直に話そう。
「会って少し話しました。用事があったみたいで帰ったっぽいですが」
『そうか……アキに……』
会長は呟くと、無言になる。
何かマズかっただろうか。確かに普通の兄弟ではなさそうな雰囲気ではあったが。
「……会長?」
無言に耐え切れず、思わず声をかける。
『……ああ。すまないね。何か変なことは無かったかな』
「ま、まあ普通だったと思いますけど」
……多分。
変か変じゃないかで言えば、変な人だったかもしれないが。怖かったし。
『……とりあえず、帰って来て欲しいな。話したいこともあるしね』
「話したいこと……?」
アキさんのことだろうか。俺は思わず身構える。
『大したことじゃないさ。ただ、今週の土曜日に大きなイベントがあってね。部員で参加することになったから予定を空けておいて欲しいって話なんだけど』
土曜日か。その日ならば空いている。
というか、基本的に俺に予定というものは無いようなものだが。
……いや、日曜日だったらダメだったな。珍しく予定がある。大切な予定が。
『神凪くんも、山田くんも予定は大丈夫そうかな?出来れば全員参加して欲しいんだけどね』
「俺は大丈夫です。山田は分かりませんけど。とりあえず今から帰りますんで、詳しくはその時に」
『うん、了解。待っているよ』
……電話を切って、溜息がひとつ漏れる。
俺はどうしてこれ程までに会長にビビっているのだろうか。別に悪いことをした訳じゃないというのに。
「……コサキ?何かあったのか?」
心配そうな顔で山田がこちらを見てくるので、何も無いと返事をする。
まあ、とりあえずとっとと帰るか。会長もお待ちだろうし、怒らせたくはない。
はあ、今日はどっと疲れたな……。
俺は再度、溜息をついた……。
「……もしもし?土曜日ですか?大丈夫ですよ。バッチリ、予定空けときます」
「はいはい。彼の心をバキバキに壊しちゃえば良いんですよね?分かってますって」
「ふふ。土曜日、楽しみですね」
第十四話に続く……




