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「……っ!」
俺は顔面から地面に倒れ込む。
誰かに思い切り背中を蹴られたのだ。多分、ヤクザキックで。
「俺の姉さんに!手を出すな!!」
上から降ってきた声に振り返ると、そこには身長が恐らく(目測だが)190近くであるであろう細身の男が俺を睨みつけている。
「ってえ、いきなり何を……!」
「うるさい!姉さんから離れろ!」
言いながら男は再度俺に蹴りをかましてきた。
流石に何度も喰らってられないので、横に転がって避ける。
しかし、俺が避けると楪が巻き込まれることを、俺は忘れていた。
「……楪!」
「しまった!姉さ……!」
「こらー!ひかちゃん!ダメ……でしょ!」
楪は男の足を掴み……そのまま投げ飛ばした。
「……はぁ!?」
物凄く細身とはいえ推定190cmの大男を小柄の女が投げ飛ばした、だと?
一体俺の目の前で何が起こっているのだろうか。
「…………………」
楪に投げ飛ばされた男は投げ飛ばされた体勢のまま、ピクリとも動かない。
「……大丈夫か?」
「だいじょーぶだよ!ひかちゃんは強い子だもん、ね!」
いや、これは強い子とかそういう問題では無いような気もするが……。
「はい!俺は強い子なので大丈夫です!」
……どうやら強い子なので大丈夫らしい。
「ごめんね、サキ。ひかちゃんはぼくの弟なんだ」
弟。相当でかい弟だな。
楪が推定150前後だろうから、40cmくらい身長差がある姉弟なのか。
「姉さん!こんな奴に謝らなくて良いです!」
「こら!ほんとはひかちゃんもちゃんと謝らなきゃいけないんだよ?人のことを蹴っちゃダメだっていうのは、分かるよね?」
「………………………スミマセンデシタ」
楪弟から非常に心のこもっていない謝罪を頂いた。非常に嬉しくないし、非常に可愛くない弟だなと思った。




