表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

大往生でした

大往生でした。でも前々世に戻ってました。

初めての作品です。

生暖かい目で見守ってください。 


よろしくおねがいします。


短編でシリーズ化しました。

ポツポツと書いていこうと思います。

 

 「あ〜、マジありえないんだけど…」

 本当にあるんだね。前々世に生まれ変わるって

 ラノベ小説でもあったけど、まさか自分もそうなるとは思わなかった。

 不幸な終わり方で、やり直すとか復讐するとか…


 「そうね。そういえばアタシもそうね」

 手をポンと叩いて、納得した。


 幼い頃に突然王子の婚約者になって、そこから始まる王妃教育。

 次から次へ、ありとあらゆる教育を施され、終わりがない。

 自分の時間なんてなかった。やりたいことなど考えるヒマさえなく、両親や兄弟にも合えず会話する事もなくなった。 

 課題も山積みだったしね…


 「というか、王子の課題が山積みだし」

 なぜかアタシがする事になっていた。

 お茶会やパーティーもまったく楽しくない!

 思い出してもウンザリする。なにが楽しくて集まってんだ?

 胸糞悪くなるだけじゃないか


 王子は外ヅラとコミュニケーション能力は超一流

 やってもらってあたり前、気を使ってもらってあたり前 

 表舞台は喜々として出て、それ以外は全部人任せな方だった。


 「言うのは簡単、実行に移すのが大変なのにね。…下準備、根まわし大変なんだから…」  

 フンと鼻をならし、ジト目になる。


 見た目は良いんだよ、見た目は…

 金髪にオリーブ色の瞳。

 いつも口元は柔らかに微笑んで、コミカルな会話でまわりを魅了し、行動力もあった。だから大変だった。


 「計画性と実行力が伴わないからね」 

 思い出せば思い出す分だけ腹が立つ。


 提案はする。けどそれ以外は丸投げ状態

 出来上がればケチをつけ、発表する時はさも自分がやりました感満載で、ビミョー事は妻が…と話をチラつかせて困った顔をして見せて…本当イヤなヤツだった。

 思い出してもムカつく。

 なんであんなヤツ人気あるんだ?王子だからか!


 「あのスカシた顔を何度殴りたいと思ったことか!」 

 

 心の中でヤツの顔をボコボコに殴りたおした。 

 心の中だから不敬にはならない、大丈夫。


 とにかくクソのような人生だった。

 前々世なんだけどね。イヤ今世じゃん。

 「ムリムリムリムリ!もう本当にムリだから!!」

 グァーと頭を掻きむしる。

 またなんで前々世に生まれ変わるのさ。

 もういいじゃん。こんなクソ人生


 やり直したいと思うか?


 もう一度生き直したいと思うか?


「おもわねぇよ!全然おもわねぇよ!!

 神なんかクソだ!何考えてんだぁー!!」 

 思わず窓から空に向かって大声で叫ぶ


 聞こえていますか?神さま

 空はとっても蒼く澄んでいる。

 でも 精神(こころ)はブリザードです。


 ヤツのせいでストレスとか睡眠とかいろいろと最悪だった

 自分の時間、なにソレ?


 「アハッ!意味分かんない」


 本当にバカじゃなかろうか…

 なんでガンバるのよ…

 別に好きでもなかったでしょ あんな詐欺師ヤロー

 むしろキライだったでしょ 寄るなクソ王子


 「性格からなにから合わなさ過ぎなのよ」


 アタシに成り代わりたい者なんてたくさんいたんだし

 

 アタシじゃなくてもよかったんだし

 

 王妃や取り巻きらから「子供まだなの?」と言われ、妊娠しても流れて…哀しみや不甲斐なさに打ちのめされた。

 流れてしまった子らに謝って、忍びなさに何度泣いただろう。 

 それでもまわりはアタシを休ませてくれない。

 "子も産めない女など価値もない"

 嘲り陰口を叩かれても、王宮(そこ)しか居場所がない。


 「本当、最低最悪な人生…」

 ベットにうつ伏せになりながら思考にふける。


 "アタシは、なにをしたかったのだろう?"

 

 "アタシは、どうすべきだったのだろう?" 


 ただ真面目に自分のできる事を我武者羅にやった。

 自分の時間を犠牲にして、本当に脇目も振らず一生懸命。

 でも誰も認めない。見向きもしない。

 

 褒められるのは王子 

 

 ダメ出しを受けるのはアタシ

 

 「マジメにやっても、手を抜いても一緒なら、抜きまくればよかったんだ…」

 

 王子がいるのは重要な時だけ。

 側近やら大臣も、それ以外の事はアタシがやっていることを知っているのに、誰もアタシをねぎらわない。

 

 「君は書類整理?という誰でもできる仕事をしているけど私は違う。人脈を使って情報収集という大切な仕事をしているのだ。遊んでる訳じゃない。

 君にそういうツテや繋がりはあるの?ないだろう?」


 「君は、それ以外他に何ができる?子供を生むという大事な事も出来ず、たかが書類を読んで書いてサインするだけ。

 部下達も時間がかかり過ぎると言っている。」


 「私たちは私たちにしか出来ない仕事をしっかりとしているんです。アナタと一緒にされたくはありません。」


 教育やらなんやらで時間に追われ友人など作るヒマなどなかった。

 両親だって、いつ会ったかも思い出せない。


 「アタシ可哀想すぎる!」 

 なんて悲惨な人生だ。

 ワーワーと大泣き、自分自身を憐れむ。 

 

 「だいたい書類整理?ってなんだよ!

 人脈がない?プライベートで人脈なくて悪いか!

 たかが書類って、なら自分でしろ!アタシに振るな!

 だれでもできる仕事だったんだろ?ならアタシを休ませろよ!

 仕事ができないと思ってるんだろ?なら仕事代われよ!!」

 

 イヤすぎるだろ。こんな人生ダメすぎる。


 友人が欲しかった。でも…

 「家庭教師が必要ありませんて言ったのよね」


 遊んだり、オシャレもしたかった。でも…

 「ムダな事です。って蔑んだ目で見てきたわ」


 家族や親戚に会いたかった。でも…

 「時間がありません。って却下されて…」


 その間ヤツは、アタシにありとあらゆるものを押しつけて人生謳歌してたっけ。取り巻きと側近と側室を見つけて、楽しく賑やかな人生歩んでた。羨ましくて王妃に相談したら…


 「お茶会で見つけなさい、だっけ?

 あんなギスギスした会場(とこ)でみつかるか!!」


 本当、アタシは王宮に合わない人だった。

 住む世界が違い過ぎる。


 実際、次に生まれた日本では、とても幸せな人生だった。

 旦那は農園を経営し、のんびりと畑を耕し自分のペースで物事を決め、なにをするにも自由なスローライフ。

 隣近所も親戚同士仲良く、気心しれた者ばかり集まってどんちゃん騒ぎで楽しんだ。 


 「本当幸せだったなぁ〜」


 皆に喜んで貰おうと作った料理が評判よくて、知り合いなどに教えていたら教室を開くことになった。

 孫のススメでプログ?をし、ほぼ孫任せだったけど一緒に写真を撮ったり、映えやらエモいやら訳の解らないけど楽しかった…

 「その時ラノベも聞いたけど、もう少し詳しく聞けばよかった。まさか自分がなるとは思わないし…」


 子どもも孫もひ孫もいる大家族。

 皆が農園経営に関わって、とても穏やかで充実した人生!

 死ぬ時は皆に見送られて逝った。

 ホント、神様ありがとう。

 とても幸せな人生でしたぁ〜

 てな感じで精神(こころ)の中は大満足だったのに…


 「なんで前々世に戻ってくるかな?おかしいでしょ?

 もう100歳近いばぁちゃんに、また若返って生きろとかヒドくない?それも、クソ人生に生き戻れとか鬼畜過ぎない?!」 

 顔をあげて叫ぶ。理不尽極まりないからだ。

 呪われてるって言われても納得する。

 誰に言う?このわけのわからない事態を…

 ムカムカするキモチを懸命に抑え、落ち着かせようと目を閉じた。

 

 前世みたいに記憶なしならまだいい

 2回分の人生の記憶とか、つら過ぎる…


 「人生…先が視えないから生きられるのよ。

 わかっちゃったら身構えて生きづらいじゃない」


 そう、出産と同じ。 

 初産は訳も判らず必死だけど、次からどれ位痛むとかどれほど苦しいとかわかる分恐ろしい。


 「ハァー、とにかく考えなくちゃ。いろいろと…」 

 ア〜…とうめき声を上げながら、ウンウン言い考える。 

 

 すぐ思いついたのは


 ・王子と婚約しない

 ・プライベート、交遊関係の充実 

 ・家族との意思疎通 


 「前回は王宮関係者以外の知り合いがいなくて大変だったし、プライベートで相談できなくてツラかったもの。

 本当ブラックな王宮(とこ)だわ」


******

 

 ということで、具体的に計画を立てようと思うんだけど…   

 「ハァ~〜……」

 イマイチやる気がでない。だって出戻り人生だから…

 気持ち的に死んでまだ数分だし、さらには()()ハイおしまい!サヨナラ〜♪ て気分なわけだし…

 

 「ムリよ。どう考えたって130歳以上にはツラすぎる。

 ばぁちゃんに考えろとかムリ!」

 疲れているのだ…たぶん魂的ななにかが…


 ダラ〜としたい、本当に

 ボケ~としたい、思いきり

 一日中寝たい。な〜んもしたくない。

 

 「普通オヤスミとかありません?

 神さま…アタシ嫌われるような事しましたか?」


 空を見上げて、やっぱり神さまはクソだと思った。

 とにかく、ここで動かないと最悪な人生が待っている。

 地獄のような日々も待っている。


 「後、ヤツがいる。本当にやだ…やっぱり逃げようかな…」


 眉間にシワを寄せながらブツブツ考える。


 そうやって四半刻考えにふけっていると…

 コンコン♪

 部屋がノックされる。


 「ハァ~イ、ど〜ぞ〜!」


 "失礼します"のあいさつを待たず、そのまま返事を返す。

 淑女のマナーなどすっかり忘れていたのだ。 


****** 


 ドン!バタバタ……

 

「上が騒がしいな…何があった?」


 邸の主人が、執事に眉をひそめて訊ねる。

 聞かれた執事も困った顔で、ためらいがちに

 「実は先程からお嬢様が…何と申しましょうか……

 何やら思い悩んでおられ、多少取り乱れたご様子…

 用心の為メイドがドアの前に待機しています…」


 ドン!「……!……!」

  

 「本当騒がしいな…」 


 上を見ながらフーとため息を吐く。

 今は陛下の提案を熟慮したいのだが…

 「メイドの話では、お目覚めの時なぜか呆然とされてたと」

 「呆然と…」

 「ハイ、そして虚ろな目で1人にしてと言われたとか」

 「………」

 「よほどイヤな夢を見られたのでしょうか…」


 訝しげに互いの顔を見合わせている…


 バタン!「神なんかクソだ!何考えてんだぁ!」

 バタバタバター……


 「………」

 「………」


 静かな沈黙が落ち、なんとも言えない顔をした後

 主人はコホンと咳払いをし、改まった顔をした。

 「まぁなんだ……実は、陛下から婚約の打診があったのだが……

 お断りしようと思う…」

 「……左様でございますか」

 執事は何も言わず、静かに微笑み頷いた。

 

 “王妃とかムリじゃね?“と思ったかどうかわからないが、図らずも知らぬ所で婚約は回避されたのだった。

 





 




ありがとうございました(*´ω`*)


おばあちゃん故に幼女

https://ncode.syosetu.com/n3775hu/

おばあちゃん空腹の腹を抱える

https://ncode.syosetu.com/n5805hv/

続編です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 続きは書かないのでしょうか?若い体の思考とおばあちゃん思考をまぜつつの。長編じゃなくても短編で続を何個かちょこちょことあれば見たいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ