大往生でした。でも前々世に戻ってました。
初めての作品です。
生暖かい目で見守ってください。
よろしくおねがいします。
短編でシリーズ化しました。
ポツポツと書いていこうと思います。
「あ〜、マジありえないんだけど…」
本当にあるんだね。前々世に生まれ変わるって
ラノベ小説でもあったけど、まさか自分もそうなるとは思わなかった。
不幸な終わり方で、やり直すとか復讐するとか…
「そうね。そういえばアタシもそうね」
手をポンと叩いて、納得した。
幼い頃に突然王子の婚約者になって、そこから始まる王妃教育。
次から次へ、ありとあらゆる教育を施され、終わりがない。
自分の時間なんてなかった。やりたいことなど考えるヒマさえなく、両親や兄弟にも合えず会話する事もなくなった。
課題も山積みだったしね…
「というか、王子の課題が山積みだし」
なぜかアタシがする事になっていた。
お茶会やパーティーもまったく楽しくない!
思い出してもウンザリする。なにが楽しくて集まってんだ?
胸糞悪くなるだけじゃないか
王子は外ヅラとコミュニケーション能力は超一流
やってもらってあたり前、気を使ってもらってあたり前
表舞台は喜々として出て、それ以外は全部人任せな方だった。
「言うのは簡単、実行に移すのが大変なのにね。…下準備、根まわし大変なんだから…」
フンと鼻をならし、ジト目になる。
見た目は良いんだよ、見た目は…
金髪にオリーブ色の瞳。
いつも口元は柔らかに微笑んで、コミカルな会話でまわりを魅了し、行動力もあった。だから大変だった。
「計画性と実行力が伴わないからね」
思い出せば思い出す分だけ腹が立つ。
提案はする。けどそれ以外は丸投げ状態
出来上がればケチをつけ、発表する時はさも自分がやりました感満載で、ビミョー事は妻が…と話をチラつかせて困った顔をして見せて…本当イヤなヤツだった。
思い出してもムカつく。
なんであんなヤツ人気あるんだ?王子だからか!
「あのスカシた顔を何度殴りたいと思ったことか!」
心の中でヤツの顔をボコボコに殴りたおした。
心の中だから不敬にはならない、大丈夫。
とにかくクソのような人生だった。
前々世なんだけどね。イヤ今世じゃん。
「ムリムリムリムリ!もう本当にムリだから!!」
グァーと頭を掻きむしる。
またなんで前々世に生まれ変わるのさ。
もういいじゃん。こんなクソ人生
やり直したいと思うか?
もう一度生き直したいと思うか?
「おもわねぇよ!全然おもわねぇよ!!
神なんかクソだ!何考えてんだぁー!!」
思わず窓から空に向かって大声で叫ぶ
聞こえていますか?神さま
空はとっても蒼く澄んでいる。
でも 精神はブリザードです。
ヤツのせいでストレスとか睡眠とかいろいろと最悪だった
自分の時間、なにソレ?
「アハッ!意味分かんない」
本当にバカじゃなかろうか…
なんでガンバるのよ…
別に好きでもなかったでしょ あんな詐欺師ヤロー
むしろキライだったでしょ 寄るなクソ王子
「性格からなにから合わなさ過ぎなのよ」
アタシに成り代わりたい者なんてたくさんいたんだし
アタシじゃなくてもよかったんだし
王妃や取り巻きらから「子供まだなの?」と言われ、妊娠しても流れて…哀しみや不甲斐なさに打ちのめされた。
流れてしまった子らに謝って、忍びなさに何度泣いただろう。
それでもまわりはアタシを休ませてくれない。
"子も産めない女など価値もない"
嘲り陰口を叩かれても、王宮しか居場所がない。
「本当、最低最悪な人生…」
ベットにうつ伏せになりながら思考にふける。
"アタシは、なにをしたかったのだろう?"
"アタシは、どうすべきだったのだろう?"
ただ真面目に自分のできる事を我武者羅にやった。
自分の時間を犠牲にして、本当に脇目も振らず一生懸命。
でも誰も認めない。見向きもしない。
褒められるのは王子
ダメ出しを受けるのはアタシ
「マジメにやっても、手を抜いても一緒なら、抜きまくればよかったんだ…」
王子がいるのは重要な時だけ。
側近やら大臣も、それ以外の事はアタシがやっていることを知っているのに、誰もアタシをねぎらわない。
「君は書類整理?という誰でもできる仕事をしているけど私は違う。人脈を使って情報収集という大切な仕事をしているのだ。遊んでる訳じゃない。
君にそういうツテや繋がりはあるの?ないだろう?」
「君は、それ以外他に何ができる?子供を生むという大事な事も出来ず、たかが書類を読んで書いてサインするだけ。
部下達も時間がかかり過ぎると言っている。」
「私たちは私たちにしか出来ない仕事をしっかりとしているんです。アナタと一緒にされたくはありません。」
教育やらなんやらで時間に追われ友人など作るヒマなどなかった。
両親だって、いつ会ったかも思い出せない。
「アタシ可哀想すぎる!」
なんて悲惨な人生だ。
ワーワーと大泣き、自分自身を憐れむ。
「だいたい書類整理?ってなんだよ!
人脈がない?プライベートで人脈なくて悪いか!
たかが書類って、なら自分でしろ!アタシに振るな!
だれでもできる仕事だったんだろ?ならアタシを休ませろよ!
仕事ができないと思ってるんだろ?なら仕事代われよ!!」
イヤすぎるだろ。こんな人生ダメすぎる。
友人が欲しかった。でも…
「家庭教師が必要ありませんて言ったのよね」
遊んだり、オシャレもしたかった。でも…
「ムダな事です。って蔑んだ目で見てきたわ」
家族や親戚に会いたかった。でも…
「時間がありません。って却下されて…」
その間ヤツは、アタシにありとあらゆるものを押しつけて人生謳歌してたっけ。取り巻きと側近と側室を見つけて、楽しく賑やかな人生歩んでた。羨ましくて王妃に相談したら…
「お茶会で見つけなさい、だっけ?
あんなギスギスした会場でみつかるか!!」
本当、アタシは王宮に合わない人だった。
住む世界が違い過ぎる。
実際、次に生まれた日本では、とても幸せな人生だった。
旦那は農園を経営し、のんびりと畑を耕し自分のペースで物事を決め、なにをするにも自由なスローライフ。
隣近所も親戚同士仲良く、気心しれた者ばかり集まってどんちゃん騒ぎで楽しんだ。
「本当幸せだったなぁ〜」
皆に喜んで貰おうと作った料理が評判よくて、知り合いなどに教えていたら教室を開くことになった。
孫のススメでプログ?をし、ほぼ孫任せだったけど一緒に写真を撮ったり、映えやらエモいやら訳の解らないけど楽しかった…
「その時ラノベも聞いたけど、もう少し詳しく聞けばよかった。まさか自分がなるとは思わないし…」
子どもも孫もひ孫もいる大家族。
皆が農園経営に関わって、とても穏やかで充実した人生!
死ぬ時は皆に見送られて逝った。
ホント、神様ありがとう。
とても幸せな人生でしたぁ〜
てな感じで精神の中は大満足だったのに…
「なんで前々世に戻ってくるかな?おかしいでしょ?
もう100歳近いばぁちゃんに、また若返って生きろとかヒドくない?それも、クソ人生に生き戻れとか鬼畜過ぎない?!」
顔をあげて叫ぶ。理不尽極まりないからだ。
呪われてるって言われても納得する。
誰に言う?このわけのわからない事態を…
ムカムカするキモチを懸命に抑え、落ち着かせようと目を閉じた。
前世みたいに記憶なしならまだいい
2回分の人生の記憶とか、つら過ぎる…
「人生…先が視えないから生きられるのよ。
わかっちゃったら身構えて生きづらいじゃない」
そう、出産と同じ。
初産は訳も判らず必死だけど、次からどれ位痛むとかどれほど苦しいとかわかる分恐ろしい。
「ハァー、とにかく考えなくちゃ。いろいろと…」
ア〜…とうめき声を上げながら、ウンウン言い考える。
すぐ思いついたのは
・王子と婚約しない
・プライベート、交遊関係の充実
・家族との意思疎通
「前回は王宮関係者以外の知り合いがいなくて大変だったし、プライベートで相談できなくてツラかったもの。
本当ブラックな王宮だわ」
******
ということで、具体的に計画を立てようと思うんだけど…
「ハァ~〜……」
イマイチやる気がでない。だって出戻り人生だから…
気持ち的に死んでまだ数分だし、さらには終了ハイおしまい!サヨナラ〜♪ て気分なわけだし…
「ムリよ。どう考えたって130歳以上にはツラすぎる。
ばぁちゃんに考えろとかムリ!」
疲れているのだ…たぶん魂的ななにかが…
ダラ〜としたい、本当に
ボケ~としたい、思いきり
一日中寝たい。な〜んもしたくない。
「普通オヤスミとかありません?
神さま…アタシ嫌われるような事しましたか?」
空を見上げて、やっぱり神さまはクソだと思った。
とにかく、ここで動かないと最悪な人生が待っている。
地獄のような日々も待っている。
「後、ヤツがいる。本当にやだ…やっぱり逃げようかな…」
眉間にシワを寄せながらブツブツ考える。
そうやって四半刻考えにふけっていると…
コンコン♪
部屋がノックされる。
「ハァ~イ、ど〜ぞ〜!」
"失礼します"のあいさつを待たず、そのまま返事を返す。
淑女のマナーなどすっかり忘れていたのだ。
******
ドン!バタバタ……
「上が騒がしいな…何があった?」
邸の主人が、執事に眉をひそめて訊ねる。
聞かれた執事も困った顔で、ためらいがちに
「実は先程からお嬢様が…何と申しましょうか……
何やら思い悩んでおられ、多少取り乱れたご様子…
用心の為メイドがドアの前に待機しています…」
ドン!「……!……!」
「本当騒がしいな…」
上を見ながらフーとため息を吐く。
今は陛下の提案を熟慮したいのだが…
「メイドの話では、お目覚めの時なぜか呆然とされてたと」
「呆然と…」
「ハイ、そして虚ろな目で1人にしてと言われたとか」
「………」
「よほどイヤな夢を見られたのでしょうか…」
訝しげに互いの顔を見合わせている…
バタン!「神なんかクソだ!何考えてんだぁ!」
バタバタバター……
「………」
「………」
静かな沈黙が落ち、なんとも言えない顔をした後
主人はコホンと咳払いをし、改まった顔をした。
「まぁなんだ……実は、陛下から婚約の打診があったのだが……
お断りしようと思う…」
「……左様でございますか」
執事は何も言わず、静かに微笑み頷いた。
“王妃とかムリじゃね?“と思ったかどうかわからないが、図らずも知らぬ所で婚約は回避されたのだった。
ありがとうございました(*´ω`*)
おばあちゃん故に幼女
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おばあちゃん空腹の腹を抱える
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続編です。