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【完結済】多分、異世界転生もの。  作者: 久遠 魂録


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83/102

片腕の番人と、最悪の援軍

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

「……はぁ、はぁ……」

阿武隈遼司は、駅の改札口にもたれかかっていた。 目の前には、破壊された「システム・ガーディアン」の残骸が山積みになっている。 一体、何体倒しただろうか。十体か、二十体か。

「……しつけえな。暇なのかよ、お前らは」

遼司は、折れかけたタバコ(電子データ)を口に咥えた。 右腕カインは完全に沈黙している。エネルギー切れだ。 霊子銃レイシガンの弾も、残り一発。

そして、崩れた天井からは、まだ新たな巨人が降りてこようとしている。

『排除。……排除。……』

無機質な声が響く。 この世界システムは、どうしても八千代を消したいらしい。

「……させるかよ」

遼司は、左手で霊子銃を構えた。 視界が霞む。 ホムンクルスの身体も限界だ。 だが、心臓コアだけは、まだ熱く脈打っていた。

「ここを通るなら、俺を倒してから行け。……俺がいる限り、この改札は『準備中』だ」

巨人が腕を振り上げる。 遼司は、最後の一発を撃とうとして――指が動かなかった。 身体が、言うことを聞かない。

(……ここまでか)

遼司が覚悟を決めた、その時。

ドゴォォォォン!!

巨人の頭部に、凄まじい衝撃が走った。 巨人がよろめき、後退する。

「……あ?」

遼司が顔を上げると、瓦礫の山の上に、一つの影が立っていた。 ボロボロのコート。 不吉なオーラを纏った男。

「……予言者、か」

かつて遼司たちと敵対し、世界の削除を目論んだ男。 なぜ、今ここに。

「……見苦しいですね、探偵さん」

予言者は、瓦礫の上から見下ろして言った。

「貴方は、運命を変えると大見得を切った。……そのザマはなんですか」

「……うるせえ。野次馬なら帰れ」

「野次馬? ……いいえ。私は『観客』ですよ」

予言者は、手にした黒い本(複製された予言書)を開いた。

「貴方が書き換えたシナリオ……『つづく』の続きを、私は見届けなければならない。……ここで貴方に死なれては、物語が完結してしまう」

予言者が指を鳴らすと、虚空から無数の「文字」が出現した。 【拒絶】【遮断】【停止】。 それらの文字が、巨人の動きを縛り付ける鎖となる。

「……何の真似だ」

「言ったでしょう。私はこの世界の『免疫』だと。……システムが暴走し、物語を強制終了させようとするなら、それを止めるのもまた私の役目」

予言者は、ニヤリと笑った。

「貸しにしておきますよ。……さあ、立ちなさい! 主役が座り込んでいては、幕が下りない!」

「……へっ。悪役のくせに、いいこと言うじゃねえか」

遼司は、瓦礫を杖にして立ち上がった。 敵だった男が、今は背中を守ってくれている。 皮肉な話だが、悪くない。

「カイン! 起きろ! ……サボってんじゃねえ!」

遼司が右腕を叩くと、カインが微かに応答した。

『……再起動。緊急用予備電源、使用します。……兄さん、本当に人使いが荒いですね』

右腕に、僅かな光が戻る。

「行くぞ、予言者! ……あいつが帰ってくるまで、この『舞台』を持たせるぞ!」

「フン。……仕方ありませんね」

遼司と予言者。 かつての敵同士が並び立つ。 巨人の群れに向かって、二人は同時に駆け出した。

「デバッグ・ショット!」 「因果の鎖!」

光弾と鎖が交錯し、巨人を粉砕する。 泥臭い探偵と、気取った予言者。 凸凹コンビの防衛戦が、崩壊する駅の中で繰り広げられる。

その時。 改札口の向こう、光のトンネルから、微かな「風」が吹いた気がした。

(……八千代?)

遼司は振り返った。 まだ、姿は見えない。 だが、確信があった。 彼女は、今まさに「帰路」についている。

「……急げよ、八千代」

遼司は、迫りくる巨人を殴り飛ばした。

「お前が帰ってきたら……とびきりの『おかえり』を言ってやるからな!」

戦いは続く。 だが、その音はもはや絶望の悲鳴ではない。 希望を繋ぐ、命の鼓動ビートだった。


この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。

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