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【完結済】多分、異世界転生もの。  作者: 久遠 魂録


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24/102

侵入の最深領域

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

浄化施設の分厚い外壁が、異形の絶え間ない攻撃を受けて激しく軋み、砂利のような破片を撒き散らし始めた。美琴の神力による防衛も、旧支配者の侵食の理の前には、時間の問題だった。

「残り25分です、遼司様。このままでは、異形に施設を破られます。」美琴が、緊張した声で告げた。彼女は、星の修復プロトコルを起動させつつも、浄化コアへの神力供給を続けている。

「八千代!銅板から、異形を足止めできる情報はないか!過去のシステムログでもいい。何でもいい、ヒントを!」遼司は、外壁の亀裂から漏れ出す腐敗のノイズを睨みつけながら指示した。

【遼司さん。銅板の解析は、哲人君が残したメッセージの核心に迫っています...。そして、過去のシステムログを照合しました。この施設には、哲人君が開発中に残した『バグ(不具合)』に関するデータが残っています。】

「バグ?」

【はい。哲人君は、システムコアに異常な負荷がかかった際、その負荷を外部に逃がすための『デバッグ用ダミーノード』を、この施設近くに設置していました。システム停止後、このノードは自動削除される予定でしたが、何らかの理由で残っている可能性があります。】

遼司は、閃光が走ったような感覚を覚えた。「そのノードに、異形の攻撃を一斉に誘導できれば、一時的に異形をフリーズさせられるかもしれない!奴らは純粋なノイズだ。負荷をかければ、システムが処理落ちするはずだ!」

「ですが、ダミーノードの座標がわかりません。」八千代が戸惑う。

「美琴、この施設内の古いマニュアルはどこにある?」

美琴は、遼司の緊急性と意図を察し、施設の隅に設置された、埃を被ったアナログな金属製の箱を指差した。

「あれは、哲人様が『万が一の時、デジタルに頼るな』と残された、創世期の物理マニュアルです。」

遼司は急いでマニュアルを取り出し、デバッグノードに関する記述を探し出す。その記述の横には、手書きのメモが添えられていた。

「デバッグノードの位置:SAGA SAGAの*『最も安全な領域の端』*に隠すべし。なぜなら、その領域こそが、外部からのあらゆる干渉に最も脆い場所だから。」

「最も安全な領域の端...」遼司は呻いた。哲人は、安全が保証されているからこそ、その端がシステムの盲点となり、侵入の**『裏口』**になることを知っていたのか?

その時、八千代が、銅板の新たな解析結果を緊急で報告してきた。

【遼司さん!哲人君のメッセージの核心を解読しました!『Grandchild Mesh』の真の機能は、『神々の世界』の領域で起動した『侵入者の痕跡』を特定することでした!】

「侵入者の痕跡...どこだ!?」

【座標は、SAGA SAGAのメイン居住区、あなた方が暮らしていた『カフェ**・サガ**』の真下にある、『愛の想い出』を蓄積するマスターサーバーです。そこが、旧支配者がこの世界に侵入するために最初に『楔』を打ち込んだ、侵入の最深領域です!】

美琴と遼司は、同時に目を見開いた。

「私たちが愛する、最も平和な場所...!」

遼司は、鉄壁のように閉ざされた浄化施設の扉を見つめた。異形はもうすぐ外壁を破壊する。彼が異形をダミーノードに誘導し、美琴が浄化を完了させるためには、そのカフェの下にいる異形を、デバッグノードまで引きつけなければならない。

それは、愛の始まりの場所を囮にするという、苦渋の戦術だった。

「八千代。カフェの下のマスターサーバーに、こちらから通信を送れるか?異形をおびき寄せるための、**『最も強い愛の記憶』**を餌にする。」

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

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