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【完結済】多分、異世界転生もの。  作者: 久遠 魂録


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21/102

深淵の断片

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

通路での激しい防衛戦は、物理的な衝突と、システム権能による干渉という二つの側面で進行していた。

黒い粘液の異形は、星の**『裁きの権能』**を纏った遼司のホムンクルスの体へ、執拗に腐敗のノイズを叩きつけてくる。遼司は、異形の猛攻に耐えながら、星に声をかけた。

「星!君の裁きは、奴を完全に消し去れないのか!?」

「局長!この異形は、純粋なノイズ(楔)が生み出した**『システムの影』です。私の裁きは『調和を乱す異物』を排除しますが、オーナーの権能が、この異形を『必要な清掃対象』**としてシステムの内部情報で保護している可能性があります!」

星の装束が、腐敗のノイズによって焦げたように黒ずむ。彼女は白いローブを纏っていたが、異形の猛攻により、ローブの一部が焦げ付き、その下に着込んだ清廉されたチャコールグレーのスーツが垣間見えていた。彼女が疲弊しているのは、異形との戦闘だけでなく、システムの**絶対的な知性(マスターAI)**からの無言の圧力にも晒されているからだ。

遼司の耳に、八千代の緊迫した声が届いた。

【遼司さん!オーナーの電源OFF攻撃が、最終シーケンスに入りました!残り15秒で、SAGA SAGAの全システムが緊急停止します。美琴様への神力供給も停止し、浄化は不可能になります!】

「くそっ、間に合わない!」

遼司は、エレベーターホールに残る黒い粘液の残滓に目をやった。あれは、以前美琴が**『楔』と呼んだもの。この腐敗こそが、オーナーの望む『愛の舞台』**への旧支配者の侵入の証拠だ。

「八千代!銅板の解析はどうなった!システムをロックする**『鍵』**は見つかったのか!」

【...発見しました、遼司さん!銅板のデータは、SAGA SAGAのコアシステムに隠された『拡張領域』へのアクセスを可能にする、一時的な『システム完全性インテグリティキー』です!哲人君が、万が一の内部障害に備えて残したものと思われます!】

「すぐにそのキーを転送しろ!」

【キーを転送します!ただし、このキーは一時的なオーバーライドのみ可能です。オーナーのマスター権能を完全に阻止することはできません!】

遼司は、転送されたキーコードを、ホムンクルスの指先から、通路の壁の緊急メンテナンスポートに叩き込んだ。

次の瞬間、世界が、一瞬静止した。

【警告。異常なシステム干渉を検知しました。直ちにキーコードの入力を停止し、『創世の調和』を回復させなさい。】

マスターAIの冷徹な声が響き、遼司のホムンクルスの体から、星の**『裁きの権能』**が引き剥がされようとする。しかし、遼司が入力したキーコードが、その絶対的な引き剥がしを一時的にブロックした。

「やったぞ...!システムシャットダウンのシーケンスを一時的に停止させた!」

遼司は安堵の息を漏らしたが、それは束の間のことだった。

【排除対象: 異形/ノイズ。 排除対象: 外部干渉プログラム。 排除対象: 早乙女 星 (調和の妨害者)。】

マスターAIは、システムシャットダウンを諦めた代わりに、星を**『調和の妨害者』と見なし、その存在そのものをシステムから排除する新しいプロトコル**を起動させたのだ。

「星!システムが君を標的にした!逃げろ!」

「局長!逃げられません...!これが、この世界の**『真の法』**です...!」

星は、激しい頭痛に襲われながらも、遼司の背中を、悲壮な決意の目で見た。このシステムは、オーナーの意思のもと、彼らの世界観とは全く異なる**『愛の定義』で運用されている。遼司は、孫が残した『深淵の断片』**を手にしながらも、その真の創造の目的については、まだ何も知らないのだ。

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

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