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【完結済】多分、異世界転生もの。  作者: 久遠 魂録


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19/102

錆びついた誓い

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

遼司は、地下コアの残骸の前で、苦渋の決断を下した。

「星。哲人のアクセスコードは、外部からの検索では不可能だった。このコアには、まだ手がかりがある。だが、通用口の防衛が限界に近い。」

「局長。あと一分が限界です。豊穣の神の権能を歪めた異形は、私の**『裁き』を、システムの『緊急エラー処理』**として無効化し始めています。このままでは、美琴様が危ない。」

星の通信には、極度の焦燥が滲んでいた。遼司は、ホムンクルスの体内に流れる冷却液の音を聞いた。システムのコアに深く潜るよりも、今は戦場に戻るべき時だと悟った。

その時、破壊された制御パネルの隅で、彼の指先が、微かなエネルギーの熱を捉えた。

「待て、星。これは...」

遼司がコアの残骸を分解すると、その内部に、プロトコル名らしきものが刻まれた、古びた銅板が隠されていた。電子的な痕跡ではなく、物理的な遺物だ。

【Grandchild Mesh 1.0 - Dedicated to the memories of Ryouji & Yachiyo】

遼司は、その銅板に刻まれた「Ryouji(遼司)」と「Yachiyo(八千代)」の名を見て、一瞬、呼吸を忘れた。

「八千代...佐伯の言う『清浄なデジタル・メッシュ』とは、これのことか?なぜ、このプロトコルに、私の名が...」

【遼司さん。それは...佐伯のデータベースにもない、哲人氏の極めて個人的な領域のデータです。解析には時間がかかりますが、浄化の鍵であることは間違いないでしょう。】

八千代さんの声は、いつもの冷静さを保っていたが、遼司は彼女の背後にある、言葉にできない緊張を感じた。

その瞬間、遼司の端末に、オーナーである憂からの通信が割り込んだ。

【遼司さーん!もうお掃除はおしまいにして、上がってらっしゃいな。地下の警備システムを、もうすぐ『省エネモード』に切り替えるわよ!】

「省エネモード...まさか、電源を切るつもりか!?」

【そうよ、電源オフ!だって、お掃除が終わらないと、無駄に電気代がかかるでしょう?】

憂は、世界の危機を「電気代」という極めて現実的な言葉で矮小化し、システム全体をシャットダウンするという絶対的な権能を行使しようとしていた。システムのシャットダウンは、腐敗の進行を一時的に止めるかもしれないが、美琴の権能を完全に停止させ、浄化の機会を永遠に奪うことになる。

「八千代、この銅板を最優先で解析に回せ!星、あと一分だけ持ちこたえてくれ!私は、コアを離脱し、通用口へ向かう。オーナーの**『絶対的な電源OFF』**を阻止する!」

遼司は、銅板をホムンクルスのポケットにねじ込むと、エレベーターホールへと駆け出した。彼の体は、孫が残した**『誓い』の重さと、世界の崩壊を『電気代』**で片付けようとするオーナーの絶対的な意思との間で、激しく揺さぶられていた。

通路に到達した遼司が見たものは、黒い粘液の異形が、星の**『裁き』の障壁**を、まるで水滴を弾くかのように嘲笑いながら、突破しようとする光景だった。星の巫女装束は既に一部が破れ、全身から湯気が立っている。

「星!離脱しろ!」

「局長!私は、この場所を守らるという誓いを...!」

星の叫びは、異形が放った腐敗のエネルギー波によって、かき消された。

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

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