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【完結済】多分、異世界転生もの。  作者: 久遠 魂録


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境界線上のカフェ

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

『前線cafe SAGA SAGA店』は、アトランティア市の中心商業区、未来的なガラス張りの高層ビル一階に位置していた。賑やかな店内へと続く入口で、早乙女 星は黒のシンプルなカーディガン姿で、私に最終確認を求めた。

「局長。この場所は、旧き教団の標的になっているにもかかわらず、全く緊張感がない。油断は禁物です。」

「理解している。公の場での戦闘は、極力避けなければならない。」

私が入店すると、そこは通常のカフェとは異質な空間だった。店の内装は未来的ながら、店員たちが着ているのは、鮮やかな白と緋色を基調とした神社の巫女装束だった。

一人の店員が、明るい笑顔で出迎えてくれた。彼女こそがリーダーの祈里いのりだ。彼女の活発な表情と、巫女装束からのぞく、隠しきれない小さな獣の耳と尻尾が、この店の異質さを際立たせていた。

「いらっしゃいませ!前線カフェへようこそ!あの、当店の制服はコスプレってことでお願いしますね!ご注文がお決まりでしたら、こちらのホログラムで……あっ!」

祈里は、またしても何かにつまずきそうになりながらも、持ち前の明るさでそれを誤魔化した。星は、彼女のドジな挙動すら、警戒心を持って観察している。

「カプチーノを二つ。」星は、周囲のプレイヤーに紛れるよう、低い声で注文した。

祈里が去った後、星は低い声で私に言った。

「局長。彼女たちが、このSAGA SAGAと、遥か太古の神々の世界を繋ぐ**『境界線』**の住人です。彼女たちは神々の眷属であり、このカフェは、その境界線が存在する『場』。」

「そして、その境界線にある『特異点』を構成する存在が、彼女たちの中にいる。」

星の視線は、テキパキと動く他の店員、**美琴みこと**に向けられていた。美琴は、メンバーの中で一番年長者らしく、優しく穏やかな表情でテーブルを回っている。彼女の巫女装束は特に優雅に見え、周囲のプレイヤーから熱い視線を集めていた。

「あの美琴という女性です。彼女は他の三人の眷属たちとは異なり、その力の源は、神の一柱。彼女こそが、この場所で『混沌の信仰波』を中和し、旧支配者の封印を守る要となっています。」

八千代さんから得た情報では、このカフェの地下コアには、お孫さんが作った『Grandchild Mesh』の痕跡がある。しかし、美琴が神の一柱であるという情報は、そのシステム的な裏付けよりも、遥かに深い真実を物語っていた。

私たちのテーブルに、二つのカプチーノが運ばれてきた。運んできたのは、祈里の親友であり、しっかり者の**神那かんな**だった。彼女は、自分にも他人にも厳しい、完璧主義者らしい隙のない動作でカプチーノを置いた。

「ご注文、神那が確認いたしました。ごゆっくりどうぞ。」

神那は星の冷たい視線に対し、わずかに敵意のようなものを含んだ視線を返した。

「彼女は、我々が『神務』に関わる者であることを見抜いています。局長、あなたの『情』や『迷い』は、彼女たちの信頼を損なうだけでなく、我々の任務をも危うくする。」星が囁いた。

私はカプチーノを一口飲むと、その熱さに紛れさせながら、星に囁いた。

「地下への侵入ルートは?」

「通用口の先に、荷物用のエレベーターがあります。佐伯の解析では、そこから地下コアへのアクセスが可能と出ています。ただし、エレベーター前には、必ず旧き教団の監視役が配置されているはずです。」

星がそう言った瞬間、祈里がこちらへ慌てた様子でやってきた。

「あの、お客様!すみません!そちらの席、予約が入っていて!私が間違えてご案内してしまって……!」

祈里は、顔を真っ赤にして頭を下げた。

「構いません。」星が冷静に言い、立ち上がろうとしたその時、祈里が星の袖を軽く掴んだ。

「あの、少しだけ……。貴方から、とても綺麗な匂いがします。」

祈里は、純粋で真っ直ぐな瞳で星を見上げた。

星の顔が、一瞬だけ硬直した。彼女の持つ厳格な正義が、祈里の持つ真っ直ぐで純粋な心に触れたのだ。

「……気のせいですよ。」星はすぐに表情を戻し、冷たく突き放した。

その時、私たちの席の背後の扉が開き、一人のプレイヤーが店に入ってきた。黒いローブこそ着ていないが、その目つきは狂信的で、服装は旧き教団のプレイヤーたちが好む、妙に未来的なデザインだった。

【警報。対象感知。プレイヤー(信仰者)特定。】

ディテクターが静かに警告する。旧き教団の監視役が、ついに姿を現した。

星は、祈里を軽く押しやり、即座に戦闘態勢に入った。

「局長。監視役を鎮圧し、地下へ突入します。彼女たちに、私たちが何者であるか悟らせてはなりません。」

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

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