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業(カルマ)

「うぅ……痛いです……酷いですぅ……こんな可愛い妖精さんにデコピンをかますなんて、この鬼!悪魔!鬼畜!魔王!」

 あぁ、本当に不本意ながら職業魔王だよこちとら。

 またおかわりを言われるたびに席を立つのも億劫なので、林檎ジュースの入った紙パックごと持ってきた。

 小さなコップにおかわりを注ぎ、自分用のコップにも注ぐ。

 またもや豪快にジュースを飲み干すとナナシは続きを話しだした。

「さて、最高傑作の人類とその他の生命が世界のエネルギーを着々と増やす中、とある問題が発生しました」

「問題?」

「そうです。世界のエネルギーは善にも悪にも寄らない無のエネルギーであり。生命エネルギーに関しては、その元となるのが善に近いものであったため特にこれといった以上はなかったのですが、他の生命とは違い感情豊かな人類だけが持つことになった不純物。欲望や憎悪、嫉妬などと言った負のエネルギー。カルマといった魂に含まれた淀みであり、穢れです。このカルマを含んだエネルギーを世界へと還元してしまうと、その穢れは世界のエネルギーを侵食し世界の維持にも支障をきたす恐れがある。下手をすればすべての生命が汚染されてしまう。急遽神々はカルマのみを世界のエネルギーに還元される前に弾くシステムを創り出しました」

 大変だと言う割にはアッサリ解決したな。

「ではここで問題です。この弾かれたカルマは一体どうなるのでしょう?」

 世界に吸収されなかったエネルギーとはいえ、所詮は何もできないエネルギーならそのまま消滅でもしたか?

 なんて答えずおかわりの飲み物を注ぐ。

 ナナシは、答える気のない俺にヤレヤレと首を振る

「答えは、世界中を漂い、カルマ同士で吸収し合った結果。この世界では悪意の化身、魔物として暴れだしたのでした。神話や伝承に登場する魔物達はすべて、このカルマから生まれ、世界中を荒らし出したのですよ」

 ナナシは『全く迷惑な奴ですよ』としみじみ呟く。

 興味深い話だ。

「つまり、日本で言う化生の類は、全てその業から発生したイレギュラーであると……それは、どの位の頻度で発生してるんだ?」

「いえ、いまはその業を浄化して純粋なエネルギーへ戻すシステムを800年くらい前に作り出したので、発生事態はしてません。ただ、その前に発生してしまったものに関しては倒す以外で消滅させる方法が無いので放置ですね。よく、UMAを見たーなんてのはその生き残りです」

 それは残念。カッパを一度は見てみたかったんだけどな……そっか、生き残ってる可能性はあるのか。

「で、この業を浄化するシステムなんですが、現在、魔王システムに上書きされて消滅しちゃいました」

 ………は?

「世界のエネルギーへ吸収されるのを弾くシステム自体は動いているので問題ないのですが、近々神代の頃と同じくこの世界にも魔物が湧き始めますね」

 


 

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