ココの想い
中二で出逢ってからずっと一緒だったリナと、高二で初めて離ればなれ(と言っても、クラスが別になっただけ)になった。
最初の頃はあまり意識してなかったし、リナとの付き合いが切れたわけでもないのに、何となく毎日が物足りなく感じていることに気付くのに、それほど時間は掛からなかった。
しょっちゅうリナと連んでばかりいた私の、新しい友達づきあい。
その友達という関係性が、リナとの関係とは違う、って違和感を覚えた。
それだけなら、『友達』と『親友』の違いだ、と言っても良かったのかも知れないんだけど。
そんな子たちとの何気ない会話の流れで、“恋バナ”というものになることがある。
それは別に、自分のものである必要は無いらしい。
誰それが彼それを好きらしいとか、告ったとか告られたとか、付き合ったとか別れたとか。
まあ、そういうゴシップめいた話題は「ふーん」とか「ほーん」とか、そんな感想しか持てなかったりするんだけど。
でも、例えば、イケメン君と目が合っちゃった、なんてキャーキャー騒いでいたり。
カレシの部屋にお呼ばれして、別に何も無かったんだけど何かテンションやばかった、とか。
そういった話には、「あーわかる」とか「そうそう」とか、どうしてか共感を覚えていたりする。
それがどういうことか。
それを改めてちゃんと考えてみたら、あれっ? となる。
だって、そういう、男の子が気になるとか、そういう覚えが無い私が、どうして?
でも、解るってことは経験があるってことだ。
と、ふと思い出されたのは、初めてリナの家に行ったときのこと。
あのときはやたら緊張してて、でもなんかすごい楽しみだったり、なんでか妙に不安だったり、色々な思いがグチャグチャで訳分からずハイになってたっけ。
そんな風に、一つ一つ“思い当たること”を見ていけば……全部が全部、リナとの想い出だ。
ちょっと待って。
それって私が、リナのこと、そういう意味で、好きってことじゃん?
いやいやいや。
いやいやいやいや。
いや、でも、リナと……、あれ? うん、嫌じゃないぞ?
アリかナシかで言えばアリ寄りのアリというか、むしろアリに寄りすぎてアリすぎる。
そういえば、初めてリナを見た時、うわーかわいい、って思って、絶対に仲良くならなきゃ、って思ったんだ。
それって、ただの、一目惚れ?
えー? 今まで自覚無かっただけで、実はそういうことー?
なんて、頭では思いながら。
心の方ではなんか、わかりみがマリアナ海溝だ。
離れて初めて気付く、なんてラブソングみたいなこと、まさか自分で体験するとは。
なるほどなー。
って。
どうするの!?
え? 告るの?
いや、無いわ。ドン引きされるわ。
別に今のままでも、一緒にいられたら良いじゃん。
だって、リナと、例えば、キスとか……。
――想像したら、なんか、脳みそがカッと熱くなった。
あ、ヤバい、これ。めっちゃしたいやつだ。
今までそんなこと、考えたことも無かったのに。
考えたら、めっちゃしたい。
えー? 意識しただけで『好き』って、こんなに変わるモノ?
あー、何だこれー? 何で私めっちゃニヤけてんの? ヤバいヤツじゃん。
うわー、これが恋なのかー。
これもう、リナに嫌われたら絶対立ち直れないヤツじゃん。
付き合いてー。
でも、嫌われたくねー。
どうすればいいの?
考えても判らないよー。
あーもう、リナぁ。責任取って私を幸せにしてくれー。