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第五話:王子様(お兄様)との初対面までの一週間

面会日まで、一週間しかない。服がないのが一番困る。あと、王子様(お兄様)に会うのに、最低限の知識、礼儀作法も必要だし。あと、外的要因の方にも手をつけなきゃだし。あ~あ、大忙し。

第五話:王子様(お兄様)との初対面までの一週間。

直ぐに、王様(お父様)からの一週間後に王子様(お兄様)に面会することを伝えられた。其の間に、私は色々と準備に明け暮れた。まず、替えの服を何も持ってきていないので、その事を侍女のミーナとイリス(初めに世話をしてくれた二人で、どちらも口が堅く、おまけに忠誠心が強い事から選ばれていた二人だった)に聞いたところ、現在、王族に女性がいない為、王宮には女性用の子供服がないらしい。

それで、第一の難関にぶち当たった。私の存在をなるべく極秘にするには、服の仕立て屋を王宮に呼び出す分けにはいかず、どうするべきか、みんなで、頭を抱えた。一番良いのは、私が町へ行って既製服を買ってくることなんだけど、皆に止められた。この国では、皆が西洋人の見かけなので、東洋人(誰も見た事がない)の私が外に出ると目だってしまうから。その結果、侍女見習いで、私と体系が似ている子を連れてミーナが城下町の仕立て屋に行って服を見繕っくる、と言う事になった。シンプルなものを頼んで、飾りになりそうなものや余分な布なども購入してきてもらうことになった。

なるべく人の目にふれないように、住居はお兄様が住む離宮に一番近い一棟に移り、人の出入りを制限した。ここに入れるのは、専属護衛であるノフマン、侍女であるミーナとイリス、それから、最初に面会した残りの六人(お父様も含めて)。カウンゼルがメインで家庭教師をしてくれたが、神殿関係の事は、神殿長自ら教えてくれることになった。行儀作法や淑女関連は、侍女である二人(実は、二人とも貴族でミーナが子爵令嬢で、イリスが伯爵令嬢なので)が、面倒を見てくれることになった。他の人々には、外国からのお客様が極秘で訪ねて来られているので、邪魔をしないよう、王様から通達があったらしい。

昼間はかなり忙しくて、夜はゆっくりしたいところだけど、夜は夜で、ジーク様と話す事があり、かなり大忙しの一週間だった。ジーク様は、あれから、毎夜同じ時間(夜八時に)、訪ねてくる。あのハグ以来、ジーク様との距離は(物理的にも心理的にも)近くなった。

外的要因から始めましょう!

一日目の夜、ジーク様は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、“昨日はごめんね、そしてありがとう”と言った後、少しモジモジしつつ、“昨日みたいに抱きしめてもいい?”と聞いてきた。

“抱きしめる?ハグの事?ハグならいいよ。”

そう言うと、嬉しそうにハグしてきたが、立ったままだと身長さがありすぎて(たぶん、40-50cm違う)、しにくい事に気付いた彼は、私と同じくらいの身長と年齢に変化した。私がハグしかえすと、ぎゅっと抱きついてきた (すっごく、嬉しそう。ずっと、一人だったんだね。神様も大変そう)。五分ほど、そうしていたら、満足したのか、離れて、今までで一番良い笑顔でもう一度、“ありがとう”と言った。(小さくなったら、なんか天使みたい。超がつくほどかわいい)。

“ジーク様、体のサイズと外見の年齢が変えられるんだね。ちなみに今いくつくらいの設定ですか?”

“人間の子供で、10歳くらいにした。ありさと同じくらいに見えるように。”

“ところで、私の年齢、ここに着いた時に、若返ってない?”

“うん、元の世界に戻すときに年齢を戻すよりも、こちらの世界に連れて来るときに他の力を付与すると同時に変える方が簡単だから。何年かかるか分からなかったので、一先ず、十年ぐらいあればいいかな、って思って、十年若返らせたよ。”

“十年、じゃあ、私、今、十五歳?”

“そうだよ!” 

だからか、背が少し低くなって、胸が小さくなったから。私、昔から、童顔なのに、十五歳の自分が西欧人に混じると、絶対小学生にしか見えないじゃん。王様、10歳くらいと言っていたけど、もしかしたら10歳でも、厳しい感じかな?

“ジーク様、私、この世界でいくつくらい?”

“なんとか、10歳!”自信満々で、答えたよ。なんとかって、酷いな、私ってそんなに子供っぽいの?いや、違うな。子供っぽいのではなく、子供にしか見えないんだな。仕方がない、これも治療の利になるように使おう。

“ジーク様はなんで、私と同じような子供の姿になったの?”

“ハグがしにくいから。”そして、はにかんで、“今まで、友達も家族もいなくて一人が当然だったけど、昨日のありさとのやりとりで、......友達になりたい、もっと親しくしたいって、思ったから。”そして、上目遣いで、“ダメかな?”と尻すぼみに聞いてきた。

(なに、この子、超かわいい。うわぁ、メチャクチャかわいい。)

“ダメじゃないよ。もう、友達だね。よろしくね。”

神様、少し涙ぐみながら、“うん、こちらこそ、よろしく。”

“友達なら、様づけって、変だから、これから、ジークって呼んでも良い?”

ちょっと、びっくりしたような、でもなんか、嬉しそうに、“うん!”そして、“もう一度、ハグしてもいい?”

“いいよ。”と両腕を上げて、待ち受けると、飛び込んできた。人肌に飢えていたんだね。神様でも、一人は寂しいよね。

ハグを堪能した後、ジークは、“また、明日!”と言って帰っていった。

二日目の夜八時。

“ありさ、昨日ぶり!”と元気よく抱きついて来た。うれし、はずかしの表情で。もう、かわいいな。弟が欲しかったんだよね。

“うん、昨日ぶり!”抱き返しながら、頭をなでるととても嬉しそうに顔が綻んだ。

“ジーク、今結界はってあるんだね。”

“うん。”得意そうな感じで‘えっへん’と胸を反らせた。

“すごいね。私も、同じように結界はれるようになりたい。だめかな?”

“そうなの。うん、いいよ。お揃いだね。”指を鳴らすと “結界解除するから、やってみて!”かる~い感じで仰る。

“やってみて、って言われても、そんなことやったことないし、どうすればいいのかわからないよ。”顔を顰めて不満顔で言うと、

“イメージするだけだよ。”不思議そうな顔で、クエスチョンマークを表示した。

“イメージ…(それでは、私とジークの周りに薄い膜を張り巡らせる、それは全てを遮断するもの)。”

周りに、なんか本当に透明の膜が張られたような感じがした。

“上手い、上手い、なんか、僕のよりも強固みたい。”

“ジークのとは、違うの?”

“うん、違う。僕のは、音と気配の遮断だけ。でも、ありさのは、防御も入ってる。どんな風にイメージしたの?”

“全ての遮断だよ。”

“そっか、今度は、解除して、音と気配の遮断だけにしてみて。”

“それも、イメージすればいいの?”

“そう、そう”分かってきたね、という表情。

私は霧散するイメージで解除してみた。見えない膜が本当に霧散した。そして、今度は薄い膜に音と気配だけが遮断とイメージしてみた。そして、同じような透明な膜に囲まれた。

“ありさ、マスターしたみたいだね。今度からは、僕が来たと同時にやってみてね。”

“分かった。ありがとう。”ジークはへへって笑った。それで、ジークは帰っていった。

三日目の夜、

ジークの気配がした途端、結界を張ってみた。

“完璧!”と親指を立てて賞賛。目でハグして欲しい、と合図してきたので、腕を広げて待つと、直ぐに飛び込んできた。今日は、ぎゅっとした後、満足したみたいで、隣におとなしく座った。

“ジーク、ちょっと質問があるんだけど。”何?と言う感じに首を少し傾げる。

“初めて会ったときにした一つ目のお願いの時に流れ込んで来た情報についてなんだけど、いいかな?”

“大体の状況は分かったのだけど、今後の為に、ちょっと確認しておきたいんだけど、”

もうなんなの、早く聞いてよ!と言った感じで私を見てくる。

“始めに世界を造った時、ジークは、妖精、人間、魔物が仲良く暮らせる世界にしたかったんだよね。”

ちょっと驚いた顔をした後、今度は悲しそうに、“そう、本当はみんな仲良く平和に暮らせる世界にしたかったけど、...でも、長くは続かなかった。”吐き出すように呟いた。

“ジーク、大変だったね。うまくいって欲しかったのに、うまくいかないってつらいよね。”

そこで、ジークは号泣。そして、泣きじゃくりながら、みんなに幸せになって欲しかった、こんなはずじゃなかっくた、少しでも役に立ちたかった、でも、役立たずだった、神なのに、何も出来なかった、それどころか、やる事なすこと全て仇になっただけ、何が悪かったのかさえ、分からない、と吐露した。

十五分ほど、肩を抱いていたら、少し落ち着いたのか、目で恥ずかしそうに私の様子を伺ってきた。ぽん、ぽん、と背中を大丈夫だよ、と軽く叩きながら、更に落ち着かせた。漸く、涙が止まったところで、水を飲むか聞いてみた。頷いたので、ベッドの横に置いてある水差しから、コップに注ぎ、彼に持っていった。彼は、“ありがとう”と呟くと、一気に飲み干して、コップをテーブルの上に置いた。落ち着いたところで、

“なぜ、うまくいかなかったのか、知りたい?”彼の目を見据えて静かに聞くと、

俯いていた彼は、一気に顔を上げ、私に正面から向き合い、“知りたい!!!”と叫んだ。

ここで、答えを教えるのは簡単だけど、それだと成長しないからね。だから、教えられないんだよね。私が出来るのは、ガイドすることだけ。

“それじゃあ、今まで起きたこと、年表にでもしてみよっか?客観的に見えれば、今まで見えなかったものが見えてくるかも。ねっ!”

こうして、年表作りが始まった。手始めに、大まかな歴史をジークがしたことも含めて明日の夜までに書いてくるように宿題に出した。

四日目。

ジークは、二十ページほどになった年表を持って、誇らしそうに胸を少し張って提出してきた。がんばったね、と頭を撫でると、とても嬉しそうに笑った。一緒に年表を見返すと、初期から中盤にかけて、ジークは、とても楽しそうに嬉しそうにしていたが、中盤あたりで、表情が曇り、終盤は苦痛に顔を歪めていた。初めは、初期あたりに重点を置かないと、彼の心がもたないね。気持ちを切り替えて浮上させるため、この世界に存在する精霊,聖獣、妖精について説明してもらった。それらは、とても珍しいものであり、色々と質問をしてそれにジークが答える形で、今日の会合は終わった。もちろん、ジークはハグを強請って、ハグした後、帰って行った。

五日目。

今日もハグから始まって、ハグで終わった (これは、もう一種の儀式のようなものになった)。今日は、年表を箇条書きで纏める作業を淡々としてもらった。感情を混ぜることなく、只、淡々と起こったことを文章に淡々と書き起こす。それが、終わると、今日の会合も終わり、元気よく帰っていった。

六日目。

今日は、箇条書きを一緒に見直す作業で、彼には声に出して読んでもらった。大分、客観的に見れるようになってきたみたい。明日は、お兄様(王子様)に初めて会う日なので、お休みにして、いつものように、宿題を出した。箇条書きを見ながら、初期の目的と、結果を文章にし、明後日に持ってくることが宿題。明日が休みなので、ちょっと不安そうな顔をしたが、明日の面会予定を口にすると納得して帰って行った。

そして、明日はいよいよ初の面会日。楽しみ!


いよいよ、お兄様(王子様)との初対面。お父様 (王様)がつきそってくれて、紹介してくれるから、大丈夫だよね。わくわくする。楽しみ!

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