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どうなることやら?

まさかの異世界への出張。しかも、異世界の神様からの突然の依頼。突然呼び出されて、一時間以内に決断させられて、一人で送り込まれた別世界。私、望月ありさ、25歳、神様からの依頼を完了させて、無事にもとの世界に戻れるのか?

Nihonmusume


プロローグ: 始まりは異世界の神様からの急な呼び出しだった。


“突然、こんな形で、呼びだしてしまって申し訳ない。”

(誰、この人?)。

私は、目の前の人物をジーっと見つめた。その人は、困った顔で、何から話せば良いのかわからない、という表情で、私を見ていた。その人は、二十代後半くらいの美丈夫さんだったが、髪は真っ白だった。うーん、白って言っても、艶もあり、光っているので、ただの白というよりも、銀髪のよう。まあ、私が暮らしているのはアメリカだし、色んな容姿の人がいても、当然といえば当然で、おかしくはないかも、だけど。でも、なんか、綺麗過ぎるというか、神々しいというか、普通の人には見えないし。それに、この人の目って、よく見ると紫なんだけど。こんな色はじめて見た。コンタクトレンズかな?それにしても、こんな色のコンタクトあったかな?


(それに、ここは何処?)。

そこで、私はやっと周りを見渡す。真っ白な空間の穏やかの感じの空間で、目の前にいる人以外、誰も何もなかった。

“あなたは、誰ですか?そして、ここは、どこですか?”

私は取り乱すこともなく、冷静に目の前の人に尋ねてみた。(訳が分からないなら、聞くしかないよね)。

その人は、少し驚いたように、でも、感心したように、柔らかな微笑を浮かべながら、言った。

“さすがは、君の世界の神が選んだだけのことはある。”

(私の世界の神?うーん、私の患者さんにこんな人いなかったけど。仕方がない,一先ず、話だけでも聞いてみようかな)。


              異世界の神様からの依頼とは?


“どこから話せば良いのか...そして、どこまで話すべきなのか...”その人は、少し困惑気味で考え込んでしまった。

(うーん。ここは、こちらから誘導した方が早いかも)。

“はじめに、私の名前は望月ありさです。あなたのお名前は?”

その人は、ハッとして、照れた感じで、微笑みながら、

“すまない。自己紹介すらしていなかったね。私は、君から見たら、異世界の神になる。他の神たちからは、ジークフリードと呼ばれている。”

(異世界、神、益々おかしな事を言う人だね。ここは、相手を刺激せずに、何が目的なのかを聞きだしたほうがいいみたい)。

私は、穏やかに、にっこり微笑みながら、相手の話の腰を折ることなく、相手を肯定する態度で、話を促した。

“そうですか。あなたは、異世界から来られた神様なのですね。失礼いたしました。この度は、どういったご用件で、私のような普通の一般人を呼びだされたのですか?(最初に、呼び出してすまない、と言っていたし、ここは、彼の領域なのだろう)”。

“驚いたよ。全く動揺してないようだし、さすがに君の世界の神が選んだだけのことはある”。その人(神)は、少し驚いたようにでも、嬉しそうに、同じような事を言った。“

(表情筋も、言葉も態度も矛盾することなく一致している。さっき言った事と同じことをまた言っている。妄想癖とかなさそうだけど、このまま続けてみよう)。

“先ほども、同じように、私は私の世界の神が選ばれた、と仰っていらっしゃいましたが、どういった理由で、私は私の世界の神に選ばれたのですか?”

“君の能力と精神の強靭さ故に、君の神は君を選んだ。”

“それは、大変、光栄なことと存じますが、私のどの能力がお気に召されたのですか?”

(精神力は、誰に言われずとも自覚しているので、そこはどうでもいい。私の何が必要で、私をどうするつもりなのかを、聞き出さないと)。

“私には、そして、私の世界には、君の能力、君の世界の神が言っていた精神病治療のための力が存在せず、ほかの既存の方法では、治療が不可能であり、どうにもならず、君の世界の神に相談したところ、君の世界にはその方法が存在し、そして、君が一番適任だということで選ばれた。”

(つまり、私のカウンセラーとしての能力が買われたということだね。強靭な精神などは、生まれた時からかは分からないけど、自我が目覚めた時には既にこうだったし、まあ、普通の人よりは、強靭だろう)。

“そうですか。私の仕事を評価して頂いて、とても光栄です。ところで、私の世界の神が私を選んだ、ということですが、ここには、いらっしゃらないようなのですが。”

“それは、どの世界でも共通のルールで、人が神に会うのは、その人が死んだときだけだからだ。”

(ここまで、この人、神が言うことには、一貫性があって、ブレがない。この人(神)は、精神を煩っているのではないみたい。そうすると、私は厄介な事に巻き込まれた可能性が大だな。でも、一つだけ救いがあるとすれば、私はまだ死んではいないということ。そして、どうやら、彼の頼みごとを断るのは無理そうだということ。でも、ちょっと試す価値はあるかも)。

“大変、光栄なのですが、私はカウンセラーとしてまだ若輩者です。私の世界には、私よりも経験が豊富で、優れた方がたくさんいらっしゃいます。それなのに、なぜ、私が?”

“君の世界の神が言うには、この役に耐えられるのは、君しかいない、と断言された。だから、君の世界の神の協力の下、私の世界と君の世界を繋げて、君を呼び出したんだよ。”

(つまり、私には選択の余地はなく、受け入れる以外は、取るべく道はない、と言う事。こんな状況で、パニックになることもなく、冷静に対処できるような性質だから、選ばれた可能性が大だね。流されるのはいいけど、最低限の確約くらいはしておいた方がいいよね。)

“私は、異世界までカウンセラーとして出張しなければならない、と言う事ですね。”

その人、神は、にっこり笑って、“その通りだ。理解が早くて助かるよ。”と言って、私の手を取り、歩きだそうとした。私はその手をさりげなく振り払い、その場を動くことなく、質問を続けた。

“すみませんが、まだ分からない事が多々ありまして、質問させて頂いてもよろしいでしょうか?”

ちょっと困惑気味だったが、一考した後、“かまわないが、この空間でそれ程時間が取れるわけでもないので、それ程、ゆっくりしてはいられない。”と言った。

“どのくらいの時間があるのですか?”

“君の世界の時間では、約一時間、それが限界だ。”

(かなり、身勝手な要求だが、突然訳も分からずに、突然異世界に召還されるよりはましかな?一先ず、最重要項だけは抑えておこう)。

“一時間以内にあなたの世界に着かないといけない、と言う事ですね?”

“そうだ。この道は一時間後に閉じる。”

“そうなると、どうなるのですか?”

“私は私の世界へ戻るだけだが、君はこの空間に閉じ込められて、いずれ、消滅する。”

(かなり、理不尽な状況だけど、あんまり猶予がないな。)

”この道は、永久に閉じるのですか?それとも、私への依頼が完了した時、また、開くのですか?”

”心配せずとも、問題が解決され次第、この道が再び開く。私が君を元の世界に、送り届けよう。”

”治療に三年かかったとして、私が戻るのは三年後ですか?それとも、この瞬間に戻してくれるのですか?”

”君が決めればよい。”

”それでは、任務を完了次第、私がこの世界を離れた今の瞬間に、私を戻して頂いてもよろしいでしょうか?”

“良い。”

その言葉で、私は覚悟を決めた。決めたなら、即行動が、モットーである。

(任務完了に必要なものは、今手に入れるべきよね。何が必要不可欠かな?一つずつ、やっている暇はないよね。それなら、頭の中で整理して、一気に決めさせてもらおう)。

私が急に黙り込んだので、神、ジークフリードは、少し心配そうな顔で、私の顔を覗き込み、“大丈夫か?”と聞いてきた。

私は一瞬自分の世界に意識を飛ばしていたのだが、神のその声と、目の前にある綺麗な顔に、反応して、意識を戻し、ゆっくりと微笑みながら答えた。

“はい、ご心配をおかけして申し訳ありません。私は大丈夫です。この任務について、少し考えていただけです。

“何か必要なものや、力などあれば、できるだけ用意しよう。”

その言葉を受け、私はまた自分の考えに集中した。私に必要なものは何かを。


               私からの要求


私は静かに微笑みながら、神にお願いしてみました。

“初めに、ジークフリード様とお呼びしても宜しいですか?”

神は満面の笑顔で、快諾した。“もちろんだとも。私も君を、アリスと呼ぼう。”

“ありがとうございます。それでは、ジークフリード様、この度の任務にあたり、いくつかお願いがございます。宜しいでしょうか?”

“もちろん。何を望む?”

“一つ目は、私が行く国又は世界に必要な言語とその世界の常識や必要最小限の知識の取得を望みます。言葉も分からず、何の知識もない状態では、治療ができませんので。”

ジークフリード様が頷くと同時に、私の体が一瞬光で包まれた。膨大な知識と言葉が、頭の中を駆け巡った。私は私が向かう先がどういう世界なのか、どういう状況なのかを理解していた。

”二つ目は、他から私への物理的、精神的攻撃、及び魔法による攻撃の無効化を望みます。治療に集中するためにも、こういったものへ対応している暇も猶予もありませんから。”

彼はまた、頷いた。そして、同じように、私の体は、光に包まれた。今度は、体の中を強い川の流れのようなものが駆け巡った。

“三つ目は、私が病気になるわけにはいきませんので、病気にならないよう、お願いします。”

彼が頷いた際、今度は、体の細胞一つ一つがジワーッと温かくなったように感じた。

“四つ目は、治療において、周りの協力は不可欠ですので、その手配をお願いします。私はあなたの世界では不慣れなので、誰か私をサポートしてくれる人が、必要だと思います。お願いできますか?”

四つ目の願いに関して、神様はちょっと考える素振りをみせてから、“それについては、向こうで待っている者たちに予言で君を補佐するようにいってある。”と言い、“それで、終わりか?”と聞いた。私は、頭を横に振りながら、

“すみません、もう一つあります。”

“異世界、つまり、私の常識が全く通じない所に向かうので、治療法を現地に合わせないといけなくなると思います。特に、私の世界には存在しない魔法や魔物や精霊が関わって来た時に。その時に、順次対応して、治療を続ける為に、ジークフリード様の助けが必要になると思います。ですので、ジークフリード様との連絡方法が必要なのです。どうすれば、連絡が取れますか?”


ジークフリード様、ちょっと長いな。面倒なので、これからはジーク様でいいや。ジーク様は、少し驚いた顔で、(すっかり、私に丸投げで、放置しようと思ってすっきりした表情から、そんなことを言われるとは全く思ってませんでした、という表情に変わった)。やっぱりね。私に丸投げするつもりだったのね。そうは、問屋がおろしません。依頼してきたんだから、最大限協力してもらいますからね。


ジーク様は、あせあせ、しながら、

“君に任せておけば大丈夫だと言われたので...”とゴニョゴニョ。


私はちょっと悪い笑顔で、“ジークフリード様は、依頼主としての責任がございます。(丸投げにされるわけにはいかないんだよ)。私が治療するのに、必要なものをその都度準備していただかなければなりません。(絶対に逃がしません)。勿論、聡明な神様であるジークフリード様には、ご理解いただけますよね?”私は真っ黒な笑顔で、畳み掛けた。ジーク様は、少し怯えた顔で、引きつりながらも、“勿論だとも。”と了承した。(よっしゃあ、言質取った!)


ジーク様は、一対の丸い透明な石でできたイヤリングみたいなものを手のひらに出して、その片方を私に渡して、

“私に用事がある時は、それを握って呼びかけよ。もう片方を私が常時こうしてつけて置くから。”

を、自身の耳に当てると、それは彼の耳たぶにぴったりと納まった。

私はそれを自分が着けていたペンダントの横に持っていくと、同化して一つになった。


“それでは、あなたの世界に参りましょうか?”私はにっこり笑いながら、出発を促した。いつのまにか主導権は、私に移行していた。


ジーク様は少しビクつきながら、私の前に手を差し伸べた。私も今度は手を振り払うことなく、彼の左の手のひらに私の右手を乗せ、彼とともに一瞬で今いた道から、神殿のような所に、一人で舞い降りた。


あれっ、なんか胸が小さくなったような。身長もちょっとだけど、低くなったような。気のせい?

なんか、目の前の人達は、困惑した顔でこちらを見ているのだけれど。なんか嫌な予感がする。

ジーク様、どういうことですか? こんな所に放置ですか?(仕方ないなぁ。後で、説明してもらいましょうか)。



回りを見回すと、王冠を被った王様一人と、ローブを着た魔法使いみたいな人が一人、後、騎士の格好の人が三人、宗教関係又は神殿仕えの人が二人。ジークフリード様は、この世界の人とは会えないのだろう(だから、私だけ置いて行ったのね)。ここは15-6世紀のヨーロッパみたい。西洋人に比べるとただでさえ若く見えるのに、きちんと大人に見えるのかな?子供に見られたら、患者の治療に差障りが出るかも。まあ、なるようにしかならないだろうし、やるしかないでしょう。


続く。

丁重に迎えられ、状況説明を受けた後、私の部屋に案内された後に、もっと驚くことが、私を待ち構えていました。どうなることやら。

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