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デヤァ転生 ~無敵の攻撃 デヤァ!~  作者: フェフオウフコポォ


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12/16

発展に貢献したい市長

「まずは鉄パイプについてだな!」

「はぁ? なんですのソレ? 聞いた事も見たこともありませんわ。」

「大丈夫! なんとか作れるさ! 作り方なんぞ知らんが!」


 今だ奴隷の無償貸出という甘い汁を提供してくれているティアーヌ嬢を前にして文明発展について意見を述べる。

 冒険者のB級と正式に認められ、ティアーヌ嬢の貴族として依頼のあった盗賊討伐なんかの依頼もこなしているから、元々後ろ盾になっている相手に意見を述べるのに問題などあるはずない。


 他にもティアーヌ嬢には手配された宿についてなんかも甘えてはいるが、別に報酬としてお金も多少手に出来ているし、提言が元で、いざ甘受している甘い汁を取り上げられたとしても問題ない。

 影響が大きそうな奴隷についても見目麗しいレベッカから、自力で手配するムサイ男に変わるだけのこと……むしろその方が遠慮なく奴隷を奴隷らしく使える気もしないでもないから、さぁウェルカム!


「いきなり鉄の加工品なんて何を言い出しているの?

 そもそも鉄なんて採掘や運搬、それに精製にしろ様々な準備が必要になるものでしょう。それも大がかりな。」

「ふむ一理あるな。なにごとも準備は大切だ。

 うむ。それではここはひとつ真剣に俺の知識を出す事にしようじゃないか。」

「えっ?? は?  あの、まったく会話になっていない気がしたのですが?」


「まず俺の知識ではな、蒸気をエネルギーにするという変換が行われたな。その為に石炭などが消費されたが、それよりも効率の良い燃料の発見により一気に石油といった燃料を利用したエネルギー消費へと転換した。だが化石燃料エネルギーというのは限られた資源だからこそ利権を巡る戦争材料になるし、そのリソースは有限で限られてしまっている。なにより産出地も限定されているのが痛い。場所によって利用できないからな……だが安心して欲しい。新しく目を付けられたエネルギーにバイオエネルギーやクリーンエネルギーというものがある。」


 俺の言葉にティアーヌが目をしぱしぱさせる。

 レベッカもギョギョっとした目を向けた。


「ちょ、ちょっと待ってくださいまし。だから一体なんの話です?」

「ん? 要はエネルギーの変換利用についての話だ。

 俺達の身の周りには沢山の利用できる物があるのだよ。そのエネルギーの存在を発見し理解する事、そしてその利用方法を発見する事により爆発的な進化を遂げる事が出来る!」


 ティアーヌが固まるが、かまわず続ける。


「そして俺はそのエネルギー変換された実物を目にして触れてきたという実績。そして多少の理解があるから俺と話すだけでティアーヌ嬢は様々な発見ができるんじゃないかと思ったんだ。

 なにせここには魔法というエネルギー要素もあるのだから、俺の話から気づくという事だけでも大きく進歩する可能性が大いにあるはずだろう。」


 ティアーヌが固まった。瞼だけが数回動く。

 レベッカがティアーヌにつられて固まる。

 俺も二人につられて固まる。


「貴方……ちゃんと人の言葉を理解して話す事ができましたのね……何をいっているかは分かりませんけれど。」

「えぇ、私もビックリしてるわ。もう肉体言語デヤァか笑うことしかできないと思っていたのに……」

「ふっふふふん。知識を使う必要のないところで賢いふりをしても、なんの役にもたたんだろう? 見栄は張らない主義だ。」


「とても常識が必要なところで知恵も知識も使わない人間のセリフとは思えませんわ。」

「ほんとに。」


「まぁまぁお嬢さん方。そんなことより要は俺の望みは俺の持っている知識を包み隠さず話すから、そこから都市発展のキーをティアーヌ嬢に発見してほしいということだ。

 いかんせん俺が街で過ごしてみたところ、まだまだ水売りなんかが街で水を売り歩いているという状態は未発展すぎる。」


「それはそういうものでしょうに。」

「ちっちっち、おぜうさん。違うんだなぁ。

 水は一般家庭でも蛇口を捻ったら出てくるレベルまで押し上げたいのだよ。まぁそこまでは無理だったとしても発展途上国並みには発展させたいものだ。」


「『発展途上』って、貴方は私達が治めるこの都市が発展していないとでも?」

「まったくもって。」


 俺の言い分に明らかにカチンときたようなティアーヌの表情。

 だが俺にはデヤァがあるのだ。何も怖い事などない。

 そんな俺の内心を見透かしたティアーヌが珍しく苛立たしげに溜め息を吐いた。


「あのねぇ……ウチはこれでも王都に並ぶとまでは言えないけれど、かなりの発展した都市なのよ?」

「ふぅん。王都の発展度合も高が知れてそうだな。これは非常に残念だ。」


「……いいでしょう。そこまで言うのなら、どう発展できる余地があるのか私を納得させてみなさい。」

「うむ! 望む所だ!

 ちなみにどういった面での発展がいい? まぁ根本になるのはエネルギーの話になるんだろうけれど、だとすれば電気とか電気の持つ力場とか変換とかそういう話もしておかないとダメになって、そこはかとなく面倒なんだが? そもそも詳しいのはよく知らんし!」


「あなたねぇ……」

「はっはっは! とにかくティアーヌ嬢は俺の話から気付いたところを頑張って要点を取り上げて街を発展させてくれ! なぁに損はさせんさ!」


 こうして俺はティアーヌにも分かり易いよう転生前の生活になじみのあるエネルギーや昔の頃の生活用品の話、時には水車などを例に出しての運動エネルギーの利用方法なんかも話たり、まだ未使用の電気の概念など新エネルギーの話をするのだった――




 人類の技術進化は『発見』による進化だ。

 いや、人類自体が『道具』の発見により猿から人に進化した。


 人の進化は全て『発見』がその全てを担っている。


 だが文化が育っていると新発見であっても、その時の宗教や権威により発展が遅れ技術進歩に繋がらない事も多く、その多くは後世になって日の目を見ていることが多い。

 そして市長はその後世からやってきたのだ。


 さて、中世レベルの発見に留まっていた世界に、発見の積み重ねにより磨かれた技術を知る男が訪れ、ソレ(・・)を話したら――

 そしてそれを聞いた人物が、感じた疑問を実験して確認させる事ができるだけの権力を有する者であった場合、どうなるか――




 答えは



「デヤァ!」


 ダブルラリアットが大勢の兵士を吹き飛ばした。

 だがワラワラと次から次へと兵士達が押し寄せてくる。


 そんな兵士達に向けて、ようこそジャ○リパークへのポーズをかまえる!


「さぁ! かかってこい! 俺の市長になる道の邪魔はさせんぞぅ!」



 答えは『戦争になる』だ。



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