親友
「遊園地? なんでまたいきなり」
真也の言葉に元気がないことは、声を聞いてすぐに分かった。
「まぁ色々あってさ」
「なんだよそれ。それに、今日も先に帰っちゃうしな」
「ごめん」
「んーまぁ気にすんな。優のことだから、なんかあったんだろ?」
「うん」
「男2人で行くのも見栄えが悪いから、女子2人誘ってもいいか?」
「任せるよ」
それから僕たちは日時について話をした。
「明後日の9時に駅前集合でいいな?」
「うん」
「じゃあ、切るぞ?」
「あ、ちょっと待って!」
「ん?」
「真也、ありがとう」
「いや、俺も丁度よかったよ」
その後、真也は気晴らしになるし、と小さく言ったのが僕には聞こえた。
「じゃあな」
真也はそう言って、電話を切った。
遊園地になぜ行きたいか、と聞かれたときに、まひろの頼みごとだから、なんて僕には言えなかった。
正直、この封筒のことを、真也には話したくない。
真也はまひろのことが好きだったから。
この封筒を託されたのが、僕と知ったらあいつが傷つくような気がした。そして、僕たちの関係にも亀裂が入るような気がしたからだ。
真也がまひろに惹かれていると気づいたのは、まひろが初めて教室に訪れたときだった。
電話の相手は真也です。最初の方に登場したやつです。
次回は、過去です