わがまま
まひろと約束したんだ。何時間、何日何年何十年何百年かけてもやり遂げると。
僕は、1の数字が書かれた封筒を手に取る。
しかし、僕は封筒を開けることに躊躇した。
この封筒を開けるということは、まひろの死を受け入れるということだ。
僕は心のどこかで、まひろの死を受け入られてない自分がいることに気づいた。
分かってはいても、分かってはいても。
僕の中で、分かっていない自分がいる。
子供がデパードで親におもちゃをねだるのと一緒だ。
その瞬間、まひろの笑顔が頭に浮かぶ。あいつの笑顔が、頭の中で連写されるように流れてくる。
僕はまひろの笑顔が好きだった。
まひろともっと、話したかった。
もっと、馬鹿なやり取りをしたかった。
もっと、色々なとこに行きたかった。
ずっと、一緒にいたかった。
そうか。俺はまひろのことが……。
涙が机に落ちる。
卒業式でも、葬式でも、まひろが死んだときにだって泣かなかったのに。
やっと今、まひろの死を僕は受け入れた気がした。
僕はあいつのことが好きだったんだ。
涙を流しながら、僕は封筒を開ける。今度はすんなりと開けることができた。
まひろのいない世界で、まひろの願いを僕は叶える。
次、封筒開けます。