出会い
遅くなりました。あらすじ変えました。すみません。
感想などよろしくお願いします!!
まひろと出会ったのは、中学の卒業式から1週間ほど経った日だった。
目が覚めたとき、僕は泣いていた。
別に、怖い夢を見ていた訳でも、悲しい夢を見ていた訳でもない。
覚えてはいなくても、心がなんだか軋んでいた。
そもそも、僕はホラーとかは別に苦手ではないし、卒業式でも泣くタイプではない。
思い出そうにも、思い出せないので僕はほとんど諦めていた。
僕は起き上がって、部屋のカーテンを開ける。
窓には桜の花びらが何枚かくっついていた。
「桜か」
本当になんとなくの気持ちだった。
白いTシャツに、黒のパーカーを羽織り、下はジーンズを履いて外へと出る。
僕の家の近くには、大きな公園がある。たぶん、原っぱに近いかもしれない。
その公園の中心には大きな桜の木があるのだ。
とてもとても美しい、桜の木が。
公園に着くと、花見をしているグループが、数組あった。
僕は気にせずに、中心の方へと歩いていく。
木の下には、白いワンピースを着た女の子がいた。
本当、絵に描いたような女の子だった。
僕は、彼女とやや距離を取って、スマホのカメラで写真を撮る。家を出るとき、母親に写真を撮ってきてほしいと頼まれてしまった。
彼女は顔を上げて、ずっと桜を見ていた。
「桜ってなんだか不思議。すぐに散ってしまうのに、儚くて切なくて美しい」
いきなり、喋り出すので、僕は少しびっくりした。
「あなたはどう思う?」
彼女は微笑んで僕の方を見る。
「え?」
「君に聞いてるんだよ?」
「僕?」
「他に誰か?」
彼女はじっと僕の目を見る。自分の顔が少しずつ熱くなるのが分かった。
「あ、いや」
彼女は僕の方をまだ見ている。
「すぐに散っちゃうから、桜は美しいんだと思う」
「え?」
この時、既に僕は彼女の顔を見れずにいた。
「上手く言えないけど、ずっと咲いてたら、桜は綺麗でいても美しくはないと思う。春にだけ咲くから桜は美しいんじゃないかな?」
「はははは! なるほどね。春にだけ咲くから美しいか。うん、そうだね。私もそう思う」
風に吹かれて、長い黒髪と白いワンピースがなびく。
「きゃ」
顔立ちはとても整っていて、穏やかな目に艶やかな唇。細身の体に白いワンピースが本当に似合っていた。
「ねぇ。君、名前はなんて言うの?」
「あず、東 勇吾」
名前を言うだけなのに、噛んでしまった。
「ふふふ。私は清水まひろ。よろしくね。あ、まひろでいいよ」
「よろしく、まひろ」
コミュ障だとでも思われてるんだろう。本当に恥ずかしい。
「ねぇ、私さ、先週こっちに引っ越して来たばっかで、ここら辺のこと全然知らないの」
彼女はいたずらぽっく笑う。この先のことは言わなくても分かるでしょ? みたいな顔をしていた。
「案内しろと?」
「いぇーす。さぁ!行こ!」
まひろは僕の腕を引っ張る。
これが、まひろと僕の出会いだった。
また遅くなったらごめんなさい。