2人の修理屋
第1章のはじまりでございます!(パチパチ
テストにマラソンと行事盛りだくさんで
約1ヶ月ぶりの投稿となりますw
読んでいただければ幸いです!
リズミカルな音が、物騒な武器屋の屋根の上から響いていた。
味気ない音であるが、質素な街には十分過ぎるほどの色気。
武器屋という物騒な名前も、どこか可愛らしく見えてくる。
そんな音をたてているのは、1人の少年だった。
トンカチを手に、瓦を叩く。修理を頼まれ、直し始めて10分程度今は直した後の確認作業中だ。
少年は満足げな溜息をもらし、立ち上がる。
不備はない、その達成感が少年の身体を潤していた。
そんな少年の名は、東方の国に住む魚の名前、サンショウウオ。家名はなかった。
そんなサンショウウオの見た目は、幼い子供としか言い表せれない。身長も顔つきも、まだまだ幼さが残る小学5年生と言ったところだろう。目付きは厳しく、口元も常にへの字だが、子供の面影を残してしまっていては、あまり怖くはない。しかし、彼の年齢は16歳。あまりにも歳と見た目がかけ離れている。
そんなサンショウウオは欠伸を噛み殺し、トンカチをベルトにつけている工具入れにしまう。そして降りようとした時、サンショウウオを呼ぶ声が響く。
「終わったか、サンショウ」
サンショウウオは声の主を屋根の上から見下ろす。声の主、ミスミソウはいつも通りの不敵な笑みを浮かべながら、サンショウウオを見上げる。
ミスミソウは、サンショウウオと同じく家名がない。口元には常に不敵な笑みを浮かべている。身長は、16歳にしては高い方だ。屋根の上からとはいえ、その身長差は年の離れた兄弟に見せさせた。
彼らは修理屋を営んでおり、今はその仕事中である。
「んー、うん。いつも通り簡単な修理だった。代金もいらないくらいだね」
「おいおい、あんまり大声で言うな、そんなことは」
うっすらと笑みを浮かべ言葉を返すサンショウウオに、ミスミソウは呆れたような声を返す。
サンショウウオは欠伸を1つ漏らし、また屋根に座り込む。そして、ミスミソウをじっと見つめる。
「今日の仕事はこれで終わり?ミスミ」
「ああ、残念なことに終わりだな。直したりねぇか?」
「んー、そこまでかな」
「真面目だな、相も変わらず」
「真面目だよ、相も変わらずね」
サンショウウオは視線をミスミソウから逸らす。そして、街を見つめる。
「ミスミー、本当に仕事ないの」
「あ?ああ、ねぇよ。今日は休みだ」
「こんなに壊れてるのに?」
頬杖をつくサンショウウオの視線の先に広がるのは、半壊した自分たちの住む街、『シネレオ』の姿。
『シネレオ』、この街は灰色の街とも呼ばれ、特別な区域となっている。王政が残るクランツゥアと、民主主義国家であるエリウス。この2つの国にちょうど挟まれた場所にあり、どの国にも属さない街であった。この街が生まれた経緯は謎であるが、クランツゥアもエリウスも存在を認めていながら、取り入れようとはしていなかった。
そんなこの街は今、戦場の跡地のような姿になっていた。
灰色の街と言われるように、この街の建物はほとんどが灰色である。
質素であり、物悲しかったこの街は、ある意味では半壊する以前より色がついたとも言える。しかし、活気は以前に増して激減。 この調子であれば、沈黙の街という名もつけられるだろう。
「ああ、まあそうだよな。確かに至る所に仕事は転がってるな」
ミスミソウは苦笑いを浮かべる。
「たく、テロリストも暇だな。この街爆破してもなんもねえのによ」
サンショウウオは頷き、またも欠伸。
「まー、ここまで壊れたらよ。俺たちだけじゃ何もできねぇよ。なんかしんねぇけど、クランツゥアとエリウスも動いてるらしい。2つも国家が動いてて、俺たち民間の修理屋ごときがお呼ばれするなんてことはないさ」
ミスミソウは肩をすくめる。サンショウウオは「ふーん」と呟き、屋根から飛び降りる。
「あ、忘れてた。ばあちゃんが昼飯作ってるぞ。遅くなったけど、いただこうぜ」
「んー。わかった」
そうして2人は、武器屋の店内に入っていった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次の更新は未定ですが2週間くらいでできれば
いいと思っております!
ではでは!