表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄の悲歌  作者: いで輔
第1節 日常と非日常
2/2

2人の修理屋

第1章のはじまりでございます!(パチパチ

テストにマラソンと行事盛りだくさんで

約1ヶ月ぶりの投稿となりますw

読んでいただければ幸いです!

リズミカルな音が、物騒な武器屋の屋根の上から響いていた。

味気ない音であるが、質素な街には十分過ぎるほどの色気。

武器屋という物騒な名前も、どこか可愛らしく見えてくる。


そんな音をたてているのは、1人の少年だった。

トンカチを手に、瓦を叩く。修理を頼まれ、直し始めて10分程度今は直した後の確認作業中だ。

少年は満足げな溜息をもらし、立ち上がる。

不備はない、その達成感が少年の身体を潤していた。


そんな少年の名は、東方の国に住む魚の名前、サンショウウオ。家名はなかった。

そんなサンショウウオの見た目は、幼い子供としか言い表せれない。身長も顔つきも、まだまだ幼さが残る小学5年生と言ったところだろう。目付きは厳しく、口元も常にへの字だが、子供の面影を残してしまっていては、あまり怖くはない。しかし、彼の年齢は16歳。あまりにも歳と見た目がかけ離れている。


そんなサンショウウオは欠伸を噛み殺し、トンカチをベルトにつけている工具入れにしまう。そして降りようとした時、サンショウウオを呼ぶ声が響く。


「終わったか、サンショウ」


サンショウウオは声の主を屋根の上から見下ろす。声の主、ミスミソウはいつも通りの不敵な笑みを浮かべながら、サンショウウオを見上げる。


ミスミソウは、サンショウウオと同じく家名がない。口元には常に不敵な笑みを浮かべている。身長は、16歳にしては高い方だ。屋根の上からとはいえ、その身長差は年の離れた兄弟に見せさせた。


彼らは修理屋を営んでおり、今はその仕事中である。


「んー、うん。いつも通り簡単な修理だった。代金もいらないくらいだね」


「おいおい、あんまり大声で言うな、そんなことは」


うっすらと笑みを浮かべ言葉を返すサンショウウオに、ミスミソウは呆れたような声を返す。

サンショウウオは欠伸を1つ漏らし、また屋根に座り込む。そして、ミスミソウをじっと見つめる。


「今日の仕事はこれで終わり?ミスミ」


「ああ、残念なことに終わりだな。直したりねぇか?」


「んー、そこまでかな」


「真面目だな、相も変わらず」


「真面目だよ、相も変わらずね」


サンショウウオは視線をミスミソウから逸らす。そして、街を見つめる。

「ミスミー、本当に仕事ないの」


「あ?ああ、ねぇよ。今日は休みだ」


「こんなに壊れてるのに?」


頬杖をつくサンショウウオの視線の先に広がるのは、半壊した自分たちの住む街、『シネレオ』の姿。

『シネレオ』、この街は灰色の街とも呼ばれ、特別な区域となっている。王政が残るクランツゥアと、民主主義国家であるエリウス。この2つの国にちょうど挟まれた場所にあり、どの国にも属さない街であった。この街が生まれた経緯は謎であるが、クランツゥアもエリウスも存在を認めていながら、取り入れようとはしていなかった。


そんなこの街は今、戦場の跡地のような姿になっていた。

灰色の街と言われるように、この街の建物はほとんどが灰色である。

質素であり、物悲しかったこの街は、ある意味では半壊する以前より色がついたとも言える。しかし、活気は以前に増して激減。 この調子であれば、沈黙の街という名もつけられるだろう。


「ああ、まあそうだよな。確かに至る所に仕事は転がってるな」


ミスミソウは苦笑いを浮かべる。


「たく、テロリストも暇だな。この街爆破してもなんもねえのによ」


サンショウウオは頷き、またも欠伸。


「まー、ここまで壊れたらよ。俺たちだけじゃ何もできねぇよ。なんかしんねぇけど、クランツゥアとエリウスも動いてるらしい。2つも国家が動いてて、俺たち民間の修理屋ごときがお呼ばれするなんてことはないさ」


ミスミソウは肩をすくめる。サンショウウオは「ふーん」と呟き、屋根から飛び降りる。

「あ、忘れてた。ばあちゃんが昼飯作ってるぞ。遅くなったけど、いただこうぜ」


「んー。わかった」


そうして2人は、武器屋の店内に入っていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

次の更新は未定ですが2週間くらいでできれば

いいと思っております!

ではでは!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ